第3話 40度以上の高熱を出した時の話
多分8歳くらいだったと思う。
ただ何月何日かは覚えている。誕生日だし。
あの頃…8~10歳までは毎年誕生日の日になると39~40度の高熱を出して寝込んでいた。
私が40度以上の高熱を出して寝込んでいたんだけど、意識朦朧としながら薬を飲み、アイスを食べてアイスの上に掛けられていた顆粒状の総合ビタミン剤に顔を顰めていた時の話。
当時親はベッドで。自分は隣の畳間の布団で寝ていたけど、その時何故かベッドで寝たいと駄々をこねたらしくベッドでひとり云々唸っていた。
そんな中、ふとベッドの傍を見ると黒袈裟で編み笠を被ったお坊さんが立っていた。
紫でも茶色でもない。黒色の袈裟。
いつの間に来たのか分からない。
あと、音もしなかった。
その人を見ようとしたけど、顔は覚えていないし、声も覚えていない。
私はそのお坊さんを見ていたらそのお坊さんが窓の方を見た。
それに釣られるように窓の方を見て、ギョッとした。
全く知らない人達がお見舞いというわけじゃないだろうけど窓から見ていた。
大人から子どもまで十人居たか居ないかくらい。
顔とか姿は汚れた感じがあって、今の人の顔ではなくちょっとごつい感じ。
そして服も区々。モンペのような格好や昔のお百姓さんが着てそうなボロの着物、あと少し厚手のTシャツ姿の人も居た。冬なのに。
そんな人達がじっとこちらを見ている。
まあ、何となく察しはつくよね。
この人達、人じゃないって。
ただ、お坊さんは室内にいてあの人達は入れない。
それが不思議だった。
お坊さんが持っていた錫杖でと床を叩くとその人達はお坊さんの方を見る。
お坊さんが小さく首を振るとその人達はいなくなった。
そしてお坊さんは口元を動かし何か言って一礼して消えた。
一時期外の人達は先祖か何かで見守ってくれている人だと勝手に解釈していたんだけど、高校生の頃、ちょっとした切っ掛けで知り合ったお爺さんにその事を話すとちょっと顔をしかめられた。
「その坊さんに感謝しろよ?窓の外に居たのは死霊の群だ。全員でお前の体の中に入って死んだ際、まとめてあの世に連れて行ってもらおうとしていたんだよ。
ただ、送る坊さんの技量もあるだろうがあの世へはそんな大量には送り出せない。そしたらお前は現世に、取り憑いた奴の何人かが知らんふりして成仏したんじゃないかな…まあ、儀式の際しっかり名を呼んで経を唱えればお前が残される心配は無いとは思うが」
と、まあ恐ろしいことを言われた。
あと、そのお坊さんは守護霊や背後霊じゃないらしい。
私の関係者の依頼で派遣された僧霊なんだそうな。
何それと聞いたらあの世でも修行をしている僧侶で仏法を信仰している人の守護霊になったりする方々らしい。
それを聞いたのに聞き忘れたのが神主さんの姿をした守護霊って居るのかと…
私は見るのも聞こえるのも時々なので何とも言えないけど、今まで神職者の姿をした霊を見たのは出張先で1~2度くらいなので聞いておけば良かったと後悔している。
お爺さん、まだ生きているかなぁ…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます