第4話 未来の体験を思い出した時の話
大学卒業して3~4年位してからの話。
いやこれには霊とかそういったものは出てこないですよ?
ただ、不思議な経験を偶然華麗にスルーしたって話。
ある日の夜、私が共有スペースのプリンターを掃除していたとき、なんかピピッと来たんだ。
妹がそんな私を見て「どした?」と聞いてきたから、
「なんか、車で事故って私死んだ」
なんて言ったからジト目で「は?」って言われた。
いやまあその反応が普通だと思うけどさあ?
説明しろと言われても運転していたらいきなり車が横に押されて中央車線をはみ出して、あちら側から猛スピードで突っ込んできた黒の乗用車に潰される光景…なんて説明、すぐには無理だよ?
でも生々しい幻覚?妄想?だなぁと、そんな事もあるよねーと妹に話すと即座に「ねーよ」と返された。(´・ω・`)
それから数ヶ月経った夜。
その日は妹と旅行に行っている叔母の家へ行き観葉植物の水やりや犬の餌をあげて帰る途中。
ちょうど台風が近付いていたので車高の高い軽乗用車はちょっと強い風が吹くと揺れていた。
「そうそう、こんな感じで」
突然私が思い出した。
「は?何が?」
「前話した死んだ話」
「で?」
「風が強くて、車が中央から対向車線まで突風で押されて…この先」
そう言った瞬間にハンドルを切った。
直後、車はビルとビルの間を通り過ぎ、その隙間を突風が通り抜けた。
で、私達の車は記憶の通り中央線を越えて対向車線にはみ出して、いたんだけどハンドルを切っていたので即座に元の車線へと───
フォンッ
今でも覚えている。
対向車線の相手とこちらの車の車間、30㎝もなかった。
だって中央車線上を相手の黒いサイドミラーが通ったの見えたし。走馬灯の如くスローで。
しかも、相手はブレーキを掛けた様子は一切無い。
元の車線に戻って、更に車線変更をして路肩に車を駐めて心を落ち着けるのに数分かかった。
妹が、
「黒の高級そうな車だったけど、アレ絶対脇見運転だよ。あそこで一瞬でも見えていたら確実にブレーキ掛けているだろうし」
なんて言っていたけど、アレだね。
人が咄嗟に動けるのってほぼ無いんだよ。
この時も思いだした瞬間にハンドル切ったし。
で、押し出されて対向車線に出た瞬間慌ててアクセル踏んだし。
で、この件を武術している人に聞いてみた。
「それが未来予知かは分からないけど、常に何かロクデモナイ事が起きた時の想定って結構大事なんだよ。転んだ時とかね。
例えば階段とか、荷物を咄嗟に放り出せる人って余りいなくてね、結果大怪我したり死んじゃったりする。
転ばないことが一番だけど、その時の持ち物、場所状況を頭の片隅で想定していたら受け身も取れるだろうし、余程のことが無い限り最悪の結末にはならないよ。
ふた昔くらい前に夜、沖縄中部の繁華街歩いていたらごつい外人のお兄さん4名が不審な動きをしていてね、その時も脳内で何パターンか想定しながら位置取りして歩いていたら2人が急に俺の右手を見たまま壁の方に逃げちゃってね…うん。イイ練習になったよ」
とか。いやあのね?後半のは想定違いどころか常在戦場って…貴方マジで何やってるんすかねぇ?
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