第5話 何かに声をかけられた時の話


 土地柄なのか、それともそういった精神疾患を患っているのか、はたまた感受性や妄想力が高いのか。

 車を運転している時、不意に「あっ、そこ今事故で渋滞しているから曲がらず真っ直ぐ」とアシストしてくれる事がある。

 ぼーっと運転している時は「はいりょうかーい」って言われた通り進み…5分の1の確率でハズレを引かされる。

 騙された時は戻れない状態になった時(まだ渋滞とわかっていない時点)に嘘だと言われるのでちょっとイラッとする。

 まあ4回は本当のこと言ってくれるから良いけど、急いでいる時は勘弁して欲しいと心から思う。


 先に神職者の霊は〜と話した時の遭遇についてちょっと触れたけど、出張先で先方とのご挨拶を終えてのんびりとお散歩(迷子ともいう)していた時にこざっぱりとした狩衣を着た人に声を掛けられた。

「どうなされました?」

「ああ、どうも。この辺りは初めてでして…道に迷ったついでに散歩でもと」

「散歩ですか」

 困惑と物珍しさの混ざったような顔で私を見るその男性は5〜60代くらいの方に見えた。

 私は仕事でこの付近に来た事と散策が趣味で意味もなく歩き回ったりすることなど話した。

 まあ、その時点で色々不思議な事は起きていたりするんですよ。

 住宅街で平日の午後なので人通りはそこまでないのは納得ですが、全くないのと一つ向こうの通りの車などの環境生活音が消えた時点で「あー」としか思わなかった。

 何者かに不審者扱いされてるぅ…って。

 そしてどこから来たのかと聞かれ素直に伝えると少し驚いた顔をし、やがて納得したように頷かれた。

「そうでしたかぁ…」

 そう言ってうんうん頷くので「この近くに神社か祠はありますか?」と聞くと首を傾げられた。

 いや貴方のその服は神職者が着ている服でしょう?と思いつつ、

「その土地に来たら神社などにご挨拶するのが趣味といいますか、いつもやっている事なので」

 というとおじさん少しびっくりした顔をした。

 実際直接参拝できなかったとしても鳥居の外からでもそんな挨拶はしているのでそのことを言ったらものすごく変な顔をされた。

「分かっているのですか?」

「?土地神様やその一帯を昔から見ている神様に一言声を掛けるのは拙いんですかね?」

「いやぁ…相性の悪い神もいれば良くない何かがいる場合もいるんですよ?」

「放置されている所とかは流石に行きませんよ?本当に通り過ぎた時とか、ホテルに宿泊した際近場に神社があった時などです」

 そういうと私をじっと見て一言。

「だからか」

 私は意味がわからず首を傾げる。

「いや、うん。失礼ながら君は古いタイプの人間なんだな、とね」

 そう言っておじさんは苦笑した。

 その後私の目的地…というかホテルの場所とその近くにある神社を教えてくれたのでお礼を言うと「気をつけて」と言って私の来た道の方へと歩き出すおじさん。

 私は周辺に音が戻って来たので振り返らずに真っ直ぐ言われた通りの道を使ってホテルへと無事到着した。

 おじさんとのお話は5分程度だったはずだけど、実際は1時間経過しており、更にはフロントで受付していたら「近くであった事故に巻き込まれませんでしたか?」と真顔で聞かれ、ちょっと困惑した。4〜5年前のお話。


 呪いの巻き込まれに関しては知人の許可もらってからと言うことで。

 話すのは良いけど文章ダメって言われる場合があるので…


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