第14話 入院生活をした時の話をしようか

 9月に終わらせようと言ったのでこれをラストにしようかなぁと。


 10年以上前の話だけど、憩室炎が悪化してちょこっと入院することになった。

 まあ、私は食事を抜いてしばらく点滴生活をすれば良いだけだったので気楽な入院生活だった。

 ただね、その入院した病院があまり宜しくなかった。

 救急病院だからなのかどうなのか分からないけれど、普通に出るところだった。

 何度も来たことのある病院だけど、入院は二度目。

 一度目は元気なお婆さんの霊に3時間くらい世間話された。

 昭和60年辺りの話を。

 いやガチ世間話な挙げ句、当時平成だったけどその事も分かっていた。

 ただの徘徊かな?と思ったけど、話し終わって満足したら消えたので…うん。


 で、二度目の入院の話に戻るけど、これが拙かった。

 1日目の夜は何も起きなかったけど、2日目の夜に来訪者が来た。

 黒目…ではなく空洞目の子ども2人。

 初めは夢だった。芝生だけの広場の端にベンチがあってそこに腰掛けていた。

 その時は昼だった。

 そして芝生の向こう側に子どもが2人遊んでいたけど瞬きしたら夜になっていた。

 そしてベンチの側に松明があって、そこ目掛けて子ども達が走ってきた。男女2人で小学校低学年辺りかと思う。

「遊んで」

 って。

 この時点で金縛りに掛かっていることに気付き「あ、これはマズイ」って嫌な汗が流れた。

 子ども達が私の所に来た。

 その顔は表情は無くて目がなかった。

「遊んで」

「遊ぼう?」

 そう言われたけど、私は返事ができない。

 ただ、脳内で

「んー…ゴメン!無理!」

 と、軽い言い方で断っていた。

 その子達は私の膝にそれぞれ手を置いて遊ぼう遊ぼう言っていた。

 ふと、目が覚めた。右腕が掴まれていた。

 その子達に。

 悲鳴上げる一歩手前。

「ひっ!?」って喉が鳴る感じで息を呑んだ。

『遊ぼ?』

『遊ぼう?』

 夢の中とは違って頭に響く。

「いやゴメンだから無理だって。夜中だし、私はそっち側の人間ではないしまだ行く気ないから、他あたって」

 と断ると2人が動きを止め、互いの顔を見合わせ、『『あっ』』といって消えた。

 多分だけど、あの子達は人に化けたナニカだったのだろう。

 だけど真似ができていなかった。

 実は異常なのは目だけでは無く両腕も真っ黒だった。

 その日私は30分ほど起きていたけどそのまま寝てしまった。


 翌日の夜、お隣さんの容態が急変して10時過ぎに運ばれていったのと関係しているとは考えたくない。

 お隣さんは私が退院するまで帰ってこなかったのでどうなったかは分からない。

 病院という空間が見せた幻覚ならそれでも良い。

 ただ、あんな幻覚2度と見たくないとは思う。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

夏だし、身近に起きた不思議な体験を書いてみようか 御片深奨 @misyou_O

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ