第10話 道端であった不思議なこと3選


 短い話なので卵ボーロ感覚で!


 出張で東京に行ったときの話。

 キャリーケース引っ張りながら歩いていたら声を掛けられた。

「あなた、憑かれているわよ」

 おばさんが真剣な顔で私にそう言ってきたのだ。

 まさか、まさかこんなシチュエーションに遭遇するとは!

 と思いながらも表情は変わらない。あの頃ガチでお疲れモードがデフォだったし。

「はい。知ってます。青年ですよね?ただ、生き霊でも死霊でもないですよね?」

「えっ?なんで」

「悪いモノでは無いので大丈夫ですよ」

「えっ?」

 私は驚き固まっているおばさんをそのままにホテルへと急いだ。

 ただそれだけの話。



 沖縄での話。

 ある夏の日の夕方、とある城跡前を車で通ったときの話。

 交通量もあまり無くのんびりと定速以下で走らせ、初めて見るその城跡を視界に収めながら運転をしていると、1人だけ昔ながらの格好押した言い方悪いけどズングリムックリなおじさんがゆったりとした足取りで城跡から道路側へと降りてきていた。

「へぇ~案内の方とかかな?首里城公園以外でもあんな格好で対応するんだ」

 と思いながらなんて思って通り過ぎる直前。

 フロントガラスとフロントドアガラス(左)の境目、フロントピラー?で一瞬その人が見えなくなったと思ったら、助手席側のフロントドアガラスにその人の姿はなかった。

 あの数㎝を通り過ぎるのに秒も掛からない。

 なのにあのおじさんの姿はなかった。

 ビックリして車を止めたけど、まあ、見に行くことまではせずその周辺を見回してそのまま車を走らせた。

 後ろからの車は無かったから路肩に駐めて見に行ってもよかったけど、完全に気付かれたらマズイ気がしたのでちょっと急いでその場を後にした。



 名古屋での話。

 いつも通り初見の場所を地図も何も見ずに迷子という名のお散歩を楽しんでいた。

 その時、子どもの声がして辺りを見ると離れた所で私に手を振っている。

 後ろを見るけど誰もおらず、私を呼んでいるらしい。

 なのでフラフラとその子達の所へ行くと瞬きの瞬間、離れた所にいる。

 またその子達の所へ行くと離れた所にいる。

「ぇえ?こんな所で化かされるの?」

 なんて思いながらも誘導されるまま進むと…目の前にはまん〇らけが。

 しかもその店頭に欲しかった同人誌の本があった。

 ただ、そこそこプレミア価格になっていて…買えないわけではないけれど、という価格。

 多分あの子達は私が買いたい物を教えてくれたのだと思うけど…スマナイ!

「ほんっとゴメン。次縁があったら買うから!」

 と小声で謝りその場を去る。

 後ろから「えー?買わないの?」って聞こえたけど、スマナイ…今それ買ったら駄目な気がするのだよ!

 そう思いその場をあとにし、時計を見る。

 ───何故か、とんでもなく時間が過ぎていた。

 慌ててタクシーに乗り、空港まで急ぐ。

 運転手さんが「えっ?普通の道だとその時間ちょっと危険ですよ」と言ったので高速でも何でも使って良いですから!」と言ってなんとか到着。

 チェックインして職場の人とも合流し…お財布を確認。

 あの本買っていたら、400円足りなかったという恐ろしい事実に気付いた。

 そんな昔前のお話。


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