第14話 陰謀の糸を解きほぐす

翌朝、ジャンヌは早く目を覚まし、昨夜考えた計画を実行に移す準備を始めた。ルシアンが部屋に入ってきて、彼の決意が彼女の決意をさらに固めた。


「ジャンヌ様、準備は整いましたか?」とルシアンが尋ねた。


「ええ、今日こそ黒いフードの人物の正体を突き止めるわ」とジャンヌが力強く答えた。


まず、二人は再びエルドリッチ商会に向かった。今回の目的は、黒いフードの人物の動きを確認することだ。


商会に到着すると、ジェラルドがすぐに出迎えてくれた。「おはようございます。何か進展がありましたか?」


「ジェラルド、今日はあなたの協力がさらに必要です。黒いフードの人物について、もう一度詳しく調べたいのです」とジャンヌが説明した。


「もちろんです。こちらへどうぞ」とジェラルドは二人を案内した。


商会の監視カメラの映像を確認するため、二人は管理室に入った。ジェラルドが映像を再生し、黒いフードの人物の動きを探し始めた。


「ここです。彼が出入りしているのが映っています」とジェラルドが指差した。


映像には、黒いフードの人物が頻繁に出入りしている様子が映し出されていた。その動きから、彼がどこから来ているのかを推測することができた。


「彼は裏口を使って出入りしているようですね。これで、彼の行動範囲を絞り込めます」とルシアンが言った。


「その通りね。次はその裏口の周辺を調べましょう」とジャンヌが同意した。


商会の裏口に向かうと、そこはひっそりとしていて人の気配がなかった。ジャンヌとルシアンは注意深く周囲を見渡しながら、手がかりを探し始めた。


「ジャンヌ様、ここに足跡があります」とルシアンが低い声で言った。


「見てみましょう。これは…昨日のものじゃないわね。最近使われた跡がある」とジャンヌが言った。


足跡を辿っていくと、裏口からさらに奥へと続いていることがわかった。二人はその足跡を追いかけながら進んだ。


しばらく進むと、小さな廃屋が見えてきた。扉は半開きで、中からかすかな光が漏れている。


「ここに彼がいるかもしれない。慎重に行きましょう」とジャンヌが囁いた。


二人は静かに廃屋に近づき、息を潜めながら中を覗いた。そこには、黒いフードを被った人物が何かの書類を広げている姿が見えた。


「やっと見つけたわね。今がチャンスよ」とジャンヌが決意を込めて言った。


「行きましょう」とルシアンが同意した。


二人は廃屋に突入し、黒いフードの人物を取り囲んだ。


「動かないで!あなたが王妃様に毒を混入させた犯人ね!」とジャンヌが声を上げた。


黒いフードの人物は驚いて振り向き、慌てて逃げ出そうとした。しかし、ルシアンがすばやくその腕を掴み、逃げられないようにした。


「もう逃げられないわ。観念しなさい」とジャンヌが厳しく言った。


黒いフードを取り除くと、そこに現れたのは若い男性だった。彼の顔には焦りと恐怖が浮かんでいる。


「あなたは誰?なぜこんなことをしたの?」とジャンヌが問い詰めた。


「俺は…ただ命令に従っていただけなんだ…!」と男性は震えながら答えた。


「誰の命令?」とルシアンがさらに問い詰めた。


「レオナルド伯爵だ…彼が俺にやらせたんだ…!」と男性が白状した。


「やはり…彼が黒幕だったのね」とジャンヌがつぶやいた。


「あなたの協力が必要です。この陰謀を暴くために、すべてを話してください」とジャンヌが言った。


「わかった…もう逃げられないことはわかっている。すべて話すよ…」と男性は観念したように話し始めた。


ジャンヌとルシアンは男性の証言を元に、宮廷に戻り、王妃様と相談することにした。王妃様の寝室に入ると、彼女は心配そうに二人を見つめていた。


「ジャンヌ、ルシアン、どうなったの?」と王妃様が尋ねた。


「王妃様、黒いフードの人物を捕まえました。彼はレオナルド伯爵の命令で毒を混入させていたのです」とジャンヌが説明した。


「レオナルド伯爵…やはり彼が…」と王妃様が驚いた表情を浮かべた。


「彼の陰謀を完全に暴くために、さらに調査を進める必要があります。どうかお力をお貸しください」とルシアンが頼んだ。


「もちろんです。ジャンヌ、ルシアン、あなたたちにすべてを託します。この宮廷を守ってください」と王妃様が力強く答えた。


こうして、ジャンヌとルシアンの新たな任務が始まった。彼らは宮廷の平和を守るために、再び全力を尽くすことを誓ったのだった。


「ジャンヌ、今日も頑張るわよ」と心の中で自分に言い聞かせながら、新たな挑戦に向けて歩み出した。

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