【完結】異世界転生した薬学部女子大生が、宮廷の陰謀を解き明かす！

第8話 香水の謎を追え

王妃様の体調が回復したことで一息ついたものの、あたしの頭から香水の件が離れなかった。この陰謀の背後に誰がいるのか、突き止めなければならない。

次の日、あたしは早速ルシアンと共に香水の製造元を調べることにした。

「ルシアン、まずは宮廷に香水を納品している業者を洗い出しましょう」とあたしは提案した。

「はい、ジャンヌ様。早速手配します」とルシアンが答えた。

数時間後、宮廷の文書保管室で納品記録を調べていると、一つの名前が浮かび上がった。

「ここね。『エルドリッチ商会』。彼らが最近宮廷に香水を納品している業者だわ」とあたしは言った。

「エルドリッチ商会…確かに最近よく耳にする名前です。すぐに調査を始めましょう」とルシアンが言った。

エルドリッチ商会の調査のため、あたしたちは商会の本部へ向かうことにした。街の中心にある大きな建物がその本部だった。

「ここがエルドリッチ商会か…。立派な建物ね」とあたしは感心した。

「はい、ジャンヌ様。彼らはこの地域でも有名な商会です。早速調査を始めましょう」とルシアンが言った。

商会の中に入ると、受付の女性が出迎えてくれた。

「いらっしゃいませ。エルドリッチ商会へようこそ。どのようなご用件でしょうか？」と彼女が尋ねた。

「私たちは宮廷からの者です。最近納品された香水についてお伺いしたいのですが」とあたしが言った。

「少々お待ちください。担当者をお呼びします」と受付の女性が答えた。

しばらくして、エルドリッチ商会の担当者であるジェラルドが現れた。

「お待たせしました。ジェラルドと申します。香水についてお伺いしたいと聞きましたが、何か問題でもありましたか？」と彼が尋ねた。

「実は、最近納品された香水に毒が混入されていたのです。その件について詳しくお話を伺いたいのですが」とあたしが答えた。

「毒…ですか？それは大変なことです。どうぞこちらへ」とジェラルドはあたしたちを応接室に案内した。

応接室に通され、あたしとルシアンはジェラルドに事情を説明した。

「最近納品された香水に、微量の毒性成分が含まれていました。これについて何か心当たりはありますか？」とあたしが尋ねた。

「香水の製造は全て厳重な管理の下で行われています。そのようなことが起こるとは信じられませんが、すぐに調査を始めます」とジェラルドが答えた。

「誰が香水の製造を担当しているのですか？」とルシアンが尋ねた。

「製造部門の責任者はマルコスです。彼が全ての工程を監督しています」とジェラルドが答えた。

「では、マルコスに話を聞かせてもらえますか？」とあたしが頼んだ。

「もちろんです。すぐにお呼びします」とジェラルドが答えた。

しばらくして、製造部門の責任者であるマルコスが現れた。

「お呼びいただきありがとうございます。マルコスと申します。香水についてお話を伺いましたが、何か問題がありましたか？」と彼が尋ねた。

「あたしたちは宮廷からの者です。最近納品された香水に毒が混入されていました。その件について詳しくお伺いしたいのですが」とあたしが説明した。

「毒が…？それは一体どういうことですか？」とマルコスが驚いた様子で言った。

「製造過程で何か変わったことはありませんでしたか？誰かが意図的に毒を混入させた可能性があります」とルシアンが尋ねた。

「変わったことと言えば…実は最近、新しいスタッフが入ってきました。彼が製造工程に関わっていましたが、特に怪しい動きは見られませんでした」とマルコスが答えた。

「その新しいスタッフの名前は？」とあたしが尋ねた。

「彼の名前はエリオットです。非常に優秀な青年ですが、最近の出来事が心配です」とマルコスが答えた。

「エリオットね…。彼に話を聞いてみましょう」とあたしは決めた。

エリオットが働いている製造部門に向かうと、彼は真剣な表情で仕事に取り組んでいた。

「エリオットさん、お話を伺いたいのですが」とあたしが声をかけた。

「はい、何でしょうか？」とエリオットが振り向いた。

「最近納品された香水に毒が混入されていました。あなたが関わっている製造工程で何か心当たりはありませんか？」とあたしが尋ねた。

「毒が…？そんなことが起こるはずがありません。私は全ての工程を丁寧に行っています」とエリオットが答えた。

「しかし、誰かが意図的に混入させた可能性があるのです。何か変わったことや不審な動きがあったかもしれません。思い出せる限りで教えてください」とルシアンが尋ねた。

エリオットは一瞬考え込んだ後、口を開いた。

「そういえば…最近、製造部門に見知らぬ人が出入りしているのを見かけました。何かの検査だと言っていましたが、どこか怪しい感じがしました」とエリオットが答えた。

「その見知らぬ人の特徴を教えてください」とあたしが頼んだ。

「確か、黒いフードを被っていて顔を隠していました。背は高く、体格が良かったです」とエリオットが答えた。

「それは重要な手がかりです。ありがとう、エリオットさん。私たちはその人物を調べる必要があります」とあたしが言った。

エリオットの証言を元に、あたしたちは再びエルドリッチ商会の内部を調査することにした。黒いフードを被った見知らぬ人物を追いかけることで、陰謀の全貌が明らかになるかもしれない。

「ジャンヌ様、この人物が犯人である可能性が高いです。早急に捜査を進めましょう」とルシアンが言った。

「うん、そうね。この謎を解き明かすために、全力を尽くすわ」とあたしは決意を新たにした💪。

その夜、あたしたちはエルドリッチ商会の周辺で見張りを続けた。黒いフードを被った人物が再び現れるのを待ちながら、あたしの心は高ぶっていた。

「ジャンヌ様、あそこに人影が見えます」とルシアンが囁いた。

「ええ、気をつけて。あの人物が犯人かもしれないわ」とあたしは答えた。

黒いフードを被った人物がゆっくりと近づいてくる。あたしとルシアンは息を潜めて待った。

「今よ！」とあたしは合図を送り、ルシアンが素早く動いてその人物を捕らえた。

「何をするんだ！」とその人物が叫んだ。

「あなたが香水に毒を混入させた犯人ね！正体を明かしなさい！」とあたしが迫った。

その人物は抵抗しようとしたが、ルシアンの力に抗えず、ついにフードを外した。

「お前は…！」とあたしは驚きの声を上げた。

そこに現れたのは、エルドリッチ商会の幹部であるグレゴリーだった。

「グレゴリー…なぜこんなことを？」とあたしは驚きと怒りを込めて尋ねた。

「すべてはレオナルド伯爵の命令だ。彼の計画を遂行するために、毒を混入させるよう指示されたんだ」とグレゴリーが白状した。

「もうレオナルド伯爵の陰謀は終わったのよ。あなたもおとなしく罪を認めなさい」とあたしは厳しく言った。

「わかった、もう逃げられないことはわかっている」とグレゴリーは力なく答えた。

「これで一件落着ね。ルシアン、彼を連れて行って」とあたしはルシアンに指示した。

「承知しました、ジャンヌ様」とルシアンがグレゴリーを連行した。

その夜、あたしは安心して宮廷に戻り、ベッドに横たわった。宮廷の平和を守るための新たな一歩を踏み出したことを実感しながら、深い眠りに落ちた。