あとがき
あとがき
ここまで読んでいただいた方、本当にありがとうございます! この話が、少しでもあなたの心の栄養になれたなら嬉しいです。いや、嬉しいどころか。恩倖、これに過ぎたるはなし、という具合です。
あとがきから見てみた方には、初めまして。式見汀花と申します。もちろんあとがきから読むという人も多く居ることは知っていますので、全然オッケーです 笑。
これから読む方のために、流れを一応説明させていただきますと――
プロローグにはクソ長い創世神話の話のあと、主人公であるエクレス少年六歳のときの悲劇が語られます。
第一章では、その悲劇から十年が経ち、十六歳になる年を迎えたエクレス少年が、王都にある冒険者コースのある訓練校へ入学し、
第二章では、そこで出会った班員アストル、ロシェ、ルシアとともに授業に励みつつ、ちょっと怪しい気配がたれこみ始めます。
第三章になって、いよいよ話が大きく動き始めます。遺跡の見学を通して闇の眷族との邂逅など、衝撃的な事件のあと、畳みかけるように事実が明らかになっていきます。
第四章は、それでも立ち上がり、戦おうとする青春期の少年少女の瑞々しい感情のぶつかり合いがあって、本当の団結へと向かっていく。
第五章は、再び闇の眷族と戦い、今まで学んだことが試されます。
終章は、ついに姿を現したあの人の口から、この時点で明らかにできる全てが明らかになり……
エピローグはローファス教官の視点で、エクレスたちの無限の未来、可能性に思いを馳せるという具合です。
無粋かもしれませんが、これが全体の流れです。知りたくない! 勝手に読む! という方は、なんとか目を滑らせてやり過ごしてください 笑。
この作品を書く上で心がけたことは、読者にストレスをかけないことをまず優先しました。悪辣非道と言えるようなキャラは出さず、だいたいいいヤツで構成されることと、サクサクと読める文体で書く、という感じですね。
次には、愛されるキャラクターを書くこと。ライトノベルは一にも二にもキャラクターだと思うので、ここは気合いを入れました。作者としては、名有りのキャラはみんな確固たる魂を持たせられたかな、とは思います。
あとは……盛り込みたかったのは友情とか、そういう人と人の関わり、でしょうか。エクレスとアーシアの姉弟の関係から始まり、変質したエクレスに対してアストルやロシェが声をかける場面なんかは、我ながらよく書けた気がしてます。最後の、ルーシャとエクレスのくだりも、さらにアーシアを加えた会話も、エクレスとローファスの関係性も、アーシアとローファスの距離感も、あとはラルフ夫妻に、メイちゃんも……おおむね、書きたいように書けたかな? こういうのが好きだと言ってくれる方は、これからも式見をよろしくお願いします。こういうやつが好きなので、こういうやつを書いていくつもりです。あー、悔いはグレイシス教官をもっと掘り下げたかったなー。こういうキャラ大好きなんですけども。
適度にウェットに、しかし下品になりすぎず……というのは作品ごとの空気、テーマに左右されるんですが。これくらいの空気感の作品が私は好きです。
難しかったのは、ストーリー部分でしょうか。どうやって文庫一冊分の容量に話をまとめるか。エクレスの目的を全て叶えたり、世界の謎に挑もうとするともう……何巻かかるのか分かりませんので、苦し紛れにああいう終わり方になりました……。
おかげで投げっぱなしになった部分も多く、世界の謎も謎のままの部分は多いです。でもまぁ、ある程度は仕方ないかな、続きがあれば拾っていけばいいんだし、くらいに軽く受け止めてます、作者は。
おまけとしては、適度に伏線を置いていたり。ああ、あの時のセリフは、ここにつながるのかな、程度のものではありますが、この話を気に入っていただけた方は、再読するとまた味が出てくるやもしれません。
――というところで、次にこの小説『涙の世界』に関して、あるいはその周りの私事に関して、蛇足ではありますが、語らせていただきます。(自分語りが好きでスマンね)
思い切り自分語りのため、鬱陶しいという方はこれ以下はまるっと読み飛ばしていただいてオーケーです。
元々これは、某大賞に応募をするために書いた、私の初めての長編でした。テキストファイルのタイムスタンプは2014とあるので、このあとがきを書いている時点から、およそ十年前のシロモノです 笑。
私は、作家に……特にライトノベルの作家になりたいな、という夢を持っていたのです。本をたくさん読んでいて、映画も好きで、ゲームもたくさん遊んでいる人間だったので、なんとなく書けるのではないか、自分も書いてみたいな、という気持ちはありました。
というか実際、高校生の頃は携帯電話で小説を書いたりもしていました。(いわゆるケータイ小説とはちょっと違う、二次創作など、いろいろ)
そして2014年の頃、ふと一念発起して、なにか書いて応募してみよう、と思ったんですね。で、送ってみたかった某大賞が二月末日の締め切り。思い立ったのが、二月の半ば頃だったかな……?
四月締め切りの賞などもあったのですが、自分を追い込もうと思ったため、その某賞に狙いを定めました。で、自分に書けそうなテーマとして、この『涙の世界』をなんと一週間ほどで書き上げたんですね。(この頃の不退転エネルギーがあれば、今どれだけ書けることか……)
結果として、一次も通りませんでした 笑。
それからは反省して、改めて夢を追いかけるべく書く側としての目線を養うための読書や訓練――知識を集めたり、文章の作法とか、好きな文体を蒐集して練習したり、同人ゲームのシナリオを書いてみたり――に没頭しておりました。それに十年もかけて成長したのかって? 聞かないでくれ……。
さすがに十年は長かったな、時代に置いていかれた感はあるし、さすがに厳しいかな、と思い始めておりました。
そういう中で、「カクヨム」に出会いました。なぜ出会ったかというと。お恥ずかしながら、ロイヤルティという制度で、お金がもらえるって見たので……(小声)。
でも、あまりWEB小説、ネット小説という媒体には、ついて行ける感覚がありませんでした。転生やら、チートやら、無双やら、ハーレムやら、エロやら……私はそもそも、2000年代の中頃(かな?)から始まった「萌え」の風潮にもついて行けなかったクチだったので、絶対に無理だなとすら思っていました。
でも、ロイヤルティにつられてどれどれとカクヨムを見てみると、色々な作品があるではありませんか。
いわゆる上記のテンプレ系が人気ではありますが、一方で己が意思を貫かんとするような小説もごろごろしている。結構アツいところなんじゃないか。そう思いました。
そもそも、『涙の世界』を書いたときには、応募の規約で定められた字数を守るために原稿用紙にして百枚ぶんくらいは削ったりしていて。応募するということに対して、非常に不満がありました。もっと書かせろと。ライトノベルなんて、元々続きありきのものがほとんどだろう。それを一巻に無理にまとめさせて応募させておいて、受賞したら続刊のことを考えてねなんてのはおかしいだろう。(個人の感想です)
……とかなんとか理由をつけてすっかり応募熱がなくなっていた私は、このカクヨムに挑戦してみることを決めたのでした。カクヨムに載せるのであれば、字数にも、展開にも文句は言われない。カテゴリーエラーもない。それぞれ好きなものを載せて、それを好きな人が読んでいくんだ。最高じゃないか。
そう思いました。この「カクヨム」でもう一度、夢を見てみようと思って、恥ずかしながら、再び立ち上がる決意をしました。
そして、まずは試しとして、思い入れのある『涙の世界』を投稿してみることにしたのです。読み直して、気に入らない表現は直して、誤字脱字をチェックして……というのは大体応募の段階で終わっていたことなので、コピペしかしてないんですが。
一般的なライトノベルに比べ、あまりにも序盤からの盛り上がりに欠けるだとか、分かりやすい燃えや萌えが少ない、話として起伏が少ない、など、問題点はある程度把握してはいますが(友人から指摘された最大の問題点は、女の子が少なすぎること! 笑)、それでも、これは最初に書いた小説で、思い入れもあって。ある意味、二度と同じようには書けないような気もしているもので――だから、供養というよりはやっぱり、自分の書くものはこういうものだとみなさんに知っていただくためには、まずはこれを出したいな、という気持ちで上げたものです。
なので、この不肖の子をどうかよろしくお願いします。
……と、余分な自分語りばかりになってしまいましたが、これをもって『涙の世界』のあとがきとさせていただきます。
ちなみに、この『涙の世界』は思いっきり続いていきそうな終わり方で、事実先のプロットもあったんですが、それは現在、消失しています。(いろいろメモを取っていたノートがどこか行った。というか、落選にやさぐれていた折に葬ってしまったかもしれない…… 苦笑。みなさん、覚書はきちんと管理しておきましょう)
あとは、この程度の小説では応募しても一次で落とされますよ、という参考にもしてやってください。十年前の基準なので、どこまで当てになるかは保証しかねますが……。
というわけで、次に上げる小説は『涙の世界』の続きではなく、違うものを予定しています。
ベニー松山さんのWiz小説が子供の頃好きで。あの感じを思い出しつつ(本はどこかに消えて見当たらず……涙)書いていければなと思っております。そして、ダンジョンものとなれば、ちょっとは一般的かな? という打算もありつつ。
この『涙の世界』を上げるときに学んだことや疑問点、問題点などを活かして書いていけたらな、と思います。あ、でも次もあんまり女の子は多くないかも……。そして、人と人の関わりや内面などを重視する作風なのも、変わらないです。(それは永劫? 変わらないでしょう。たぶん)
その作風がむしろ気に入ったッ! と言っていただけるなら、どうかこれからも応援よろしくお願い致します。期待は裏切りません。(きっと……たぶん)
最後に、『涙の世界』を面白かったと思っていただけたなら、どうか★などで評価いただけたらと思います。泣いて喜びます! 私の涙で世界がひとつ作れるくらいに!
と、全然あとがきっぽくなくなってしまいましたが……
これからカクヨムで頑張るぞという所信表明だとか、出来の悪いエッセイだったなとして見逃してもらえば幸いです。
それでは、また次の作品でお会いしましょう……ということで。だらだらと長くなってしまったあとがき、ここまで読んでくださり、ありがとうございました!
涙の世界 光と闇の冒険者たち 式見 汀花 @Shikimi029
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