三猿　 - さんざる -

警備員のヒトシはある夜、臨時の仕事で海辺の小さな工事現場へ向かわされる。
夜のあいだ現場に置きっ放しになっている工作機械に悪質ないたずらがあったのだ。
同僚の各務（かがみ）とおもむいた現場は、荒廃した住宅地が広がる海岸沿いの湿地帯。
一帯では近ごろ、藪や林のなかをうろつきまわる得体のしれぬものの噂が囁かれていた――。


◆ 登 場 人 物

ヒトシ　　警備員。２０代後半。

各　務　　ヒトシの同僚。６０代。

　女　　　現場ちかくの住人