会社をクビになった俺がダンジョンに潜るワケ
清重 真琴
第1話
「帰るか」
誰もいない事務所で1人工事現場の写真整理をしていた大村 律 (おおむら りつ)は時計を見て呟いた。時刻は21時を回ろうとしている。事務所から家まで40分ほどかかるため、急いで帰り支度をして車に乗り込んだ。
「おつかえり~あ、先にお風呂入って来なさい!その間にご飯温めるから」
とテレビを見ながら母さんが言ってきた。
「あーい」
風呂から上がりテーブルの上を見て、トマトスープかと内心思いながら食べる。
「ごちそうさまでした。」
「はーい」
換気扇の下に行き、タバコに火をつける。
「ふぅ~」
「続いてのニュースです。
今の小学生が選ぶ将来なりたい職業に選ばれたのは、ダンジョン探索者でした。」
―――ダンジョン 10年前に世界各地に現れ、中からモンスターが溢れ各国に甚大な被害を出す災害の一つ。氾濫
―――探索者 ダンジョンに侵入することができ、ダンジョン内における調査を行う職業。世代問わず大人気の職業でもある。
「探索者ねぇ~、死ぬかもしれんのにやっぱ人気やねー
スキルが手に入るのはいいけど、ギャンブルになるけんね~簡単には手が出せんよね
戦闘に役立つスキルやったらいいんやけど、役立たんスキルやったら探索者人生終わりやん!まぁ会社員の俺には関係ないか」
工事現場やけど福岡市内でそこそこ有名やし!と思ってました。一昨日まで。。。
「大村~午後から会社に来いって専務から言われたぞ~」
「専務からですか・・・分かりました。昼一で会社に向かいます。」
10時休憩の時に所長から言われ、あっという間に昼休憩に、昼を食べて一服をして、会社に向かいますか。
「会社行ってきます。」
「お疲れ様です。専務!呼ばれたと聞いたのですが・・・」
「おつかれ~
会議室で待っとってくれるか?」
「分かりました。」
待つこと数分、専務が会議室に入ってきて
「大村~お前いくつになるとかね?」
「24歳になりますね・・・」
「ほーか
なら別の職を探せやすいな
明日から有休消化で2週間後退職な。
ちゃ~んと退職金は出すから60万ぐらいはね」
「え?ん?
それは決定事項ですか?」
「決定事項になるな」
「そ、そーですか
わ、わかりました」
確かに俺は覚えが悪いのもあるが、そもそも教育係である所長や先輩が何も教えてくれないし、聞いても、そんなん分らんと?など言われたら何の言えない・聞けない状態となることは仕方のないことだった。
まぁ、こんな会社やめれるだけで気持ち楽になるな~
ん?
あれぇ~?
クビ??クビやん・・・やっべぇ母ちゃんになんて言お
まぁなんとかなるか笑笑
「とりあえず、以上やね
おつかれさん。」
と言い、会議室を出て行った。
それから大変だった。
事務所に戻り、所長・先輩に言い、その日のうちに引き継ぎもし、デスクにある荷物を持って帰宅。母ちゃんに事情を説明。労基に電話しろって言われてもダルイ。
結局、なんやかんやで有給休暇の2週間があっという間に終わった。
そして、俺は今なぜか探索者協会の受付で順番待ちをしている
どぉぉぉしてぇこーなった?
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