エピローグ――双頭竜
リアは、ほとんど衰えていなかった。
むしろ、強くなったホークについていけるくらいに、強くなっていた。
「位置取り完璧、タイミングも抜群。俺のほうがミスってるな」
「今度は迷惑かけたくなかったからね。幸い、時間だけはあったから」
敵は、瞬く間に散っていく。
左を気にせずによくなったおかげで、左手空け放題、ひいては爆発魔法使い放題だ。雑魚を一斉に吹き飛ばすのは気持ちいい。
「雑魚って言っても、魔人の精鋭のはずなんだがな」
オーウェンが笑いながら言う。
「お前らのおかげで余裕ができた。感謝する」
「全部リアのおかげだ」
「はは。そんなわけないでしょ」
楽しそうな会話と裏腹に、魔人の数が減っていく。
「ここは二人に任せれば大丈夫そうだな。俺は別の場所へ向かう」
オーウェンは切り替えて俺たちの目の前を去った。
「さあこれで独壇場。双頭の竜誕生」
「韻踏まなくていいのに。どれだけテンション上がってるの」
「リアがいると安心するな」
あまりに大きな気配がやってくる。戦闘力だけなら、魔王を大きく上回る。
「たとえどんな強敵が現れても」
先手を取ったのは、リア。手痛い一撃。
反動を生かしすぐに下がったリアと魔人の間に、ホークが割り込んで魔人の反撃を受ける。生まれた隙にリアがもう一撃。
魔眼の未来予知。魔人の魔法は、風の斬撃。
即座にホークの持ち技――爆撃。相殺して、リアがさらに一撃。
しかしまあ、これまでの魔人とはしぶとさが違う。普通なら鈍くなるはずの動きも、通常の速度で動き続ける。
「まずい――」
魔人の動きが鈍くなっているつもりで行動していた俺が、魔人に迫られる。
「まったく、ホークったら」
横から刺された魔人がうめき声をあげる。
「……リア、助かった」
「わたしたちは、
能ある鷹は爪を隠す ナナシリア @nanasi20090127
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