第7話 魔王殺し
「おらっ、さっきの礼だ!」
立ちすくむカイトと魔王の間にオーウェンが割り込む。
その隙に一気に魔法の用意を進める。
「カイト行けるか!?」
「いけます!」
問答の末、オーウェンが魔王の剣を弾く。
そしてオーウェンは身体を左にずらす。
瞬間、カイトが踏み込んで剣を振る。
魔王の首に、剣が少しだけ食い込む。
刹那、剣に込めた魔法が発動する。
極光が辺りを明るく照らす。
魔王の首が、爆発。
気づくと、魔王の首から上は消滅していた。
「オーウェン、今のうちに上位魔人を皆殺しだ」
カイトの指示にうなずくより早く、オーウェンは上位魔人複数人を相手取っていた。
そして、即座に殺害。
カイトはその様子を一瞬だけ確認して、別の魔人に斬撃。
瞬く間に上位の魔人は数を減らし、魔人側には敗戦ムードが漂う。
「カイト、お前は休め」
「いや、まだ戦える」
「さっきより切れが悪い。魔力切れだろ」
「いや――」
「この場には向かない。雑魚狩りでもしてろ」
カイトは仕方なく下がる。
オーウェン一人に任せるのは不安だったが、自分が戦っている姿をこれ以上晒すことで、それがかつてホークだった男だとバレるのも嫌だった。
カイトは雑魚を探すでもなく、国王のもとへ向かう。
国王は、周囲の戦士などの助けによりなんとか生き永らえていたらしかった。
「国王陛下、ただいま戻りました」
「カイト。魔王は」
「討ち取りました」
「この、短時間で……。そなたは本当に凄まじい」
国王はカイトの実力を疑うようなことはしなかった。
「魔王を討ち取ったのなら撤退だ。戦士たちに伝えてくれ」
「わかりました」
伝言を伝えに行こうとすると、ちょうどその場にいたオーウェンが率先して伝言を伝えに行き、カイトにはジェスチャーで待機を命じた。
カイトは指示に従って国王の護衛を続け、オーウェンが速やかに戦士たちに撤退を知らせた。
遠くから見ていると、魔王を討ち取られたことによって魔人たちも撤退しているのがわかる。
そしてオーウェンが国王からの伝言を伝えたからか、人間側の前線も徐々に下がっていく。
「それにしてもカイト、本当によくやった。なにか欲しいものはあるか?」
カイトは少し悩む。
今のカイトに欲しいと思うものはあまりないが、一つだけ渇望するものがあった。
「
リアと、会いたい。
まだ生きているのかもわからない。
「捕虜となってしまった者は、無事なんですか」
「向こう側の言い分によると、傷一つないらしい」
カイトは内心飛び上がって喜ぶ。
しかし、魔人側の言い分が本当に正しいのかわからないことにすぐ気づき、再び気分が沈んだ。
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