ゼネコンマンのつぶやき

@splendidweed

第1話 ゼネコンの話

 私は大学を卒業してゼネコンに入社し、37年目になった。建築現場で28年現場監督業をしたのち、安全・環境の業務として内勤となり現在に至る。

 ゼネコンというのは一般人からすると非常にわかりにくい世界だ。建物一つ作るだけでも億単位の金額が動くので、非常にダークな印象を持つ人も多いかもしれない。談合やキックバックなどと言う言葉を記憶する人もいるだろう。建設現場は仮囲いの中で「関係者以外立ち入り禁止」の中で作業されていて、まるで秘密の世界のようだと思うかもしれない。

 かつては、多かれ少なかれそのような印象は正しかったのだと思う。何故「かつて」というかというと、少なくとも現代では潔癖であり談合もキックバックも無いし、仮囲いの中にはあまり関与しなかったと思われる発注者や設計者の方針も今は無く、大いに関与する時代である。建設中の一般人の見学も結構行われていてかなりオープンだ。たまに談合などがマスコミを賑わすのは、会社が正しいことをしていても裏切り者の社員が若干はいると言うことであり、業界や会社の方針が旧態然としているのでは無いことを知っておいて欲しい。

 さて、生活に直結する場所を建設する現場監督には広い視野と見識が要求される。何故ならば、どんな種類の建物でも設計者の意図をくみ取りながら品質・工程・コスト・安全・環境面についてすべてコーディネートする必要があるからである。そのような総合力は一朝一夕では身につかないが、長い経験の中で身につけていく。だから現場監督も「所長」という肩書きになるころには、嫌でも街を歩けばいろいろなことに気がついてしまうのである。面白いのは、皆経験する物件が異なるので人によって気がつく点が同じでは無いと言うことだ。

 そして、大手のゼネコンには担当者により「人」の「気がつく点」にばらつきが無いように会社の組織でバックアップすることが出来ると言うことだ。少なくとも様々な種類の建物を担当するのであれば。一般の人には大手ゼネコンが作ろうが数人でやっているゼネコンが作ろうが違いが分からないかもしれないが、見る人には分かるし下請けの技術力も全然違うのである。これは中小のゼネコンの技術力が無いと言っているのでは無い。住宅と事務所ビルだけなど請ける種類が少なければ、会社のバックアップが無くてもOJTで担保できるので心配ない。

 ということで、ゼネコン社員には一般の人とは異なる視点で物事を見る点があるので、これから紹介していきたいと思う。

 

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