第14話 格子の話

格子といって何を思い浮かべるだろか?留置所?牢屋?そんな物騒なものでなくても講師は存在する。一番ポピュラーなのは面格子である。窓からの不審者侵入防止のために、窓の外側に設置する縦格子だ。中には意匠的にデザインされたものもある。しかし、最近面格子はマンションではよく見るものの戸建てではあまり見なくなった。

あまり見なくなったものとして雨戸もある。マンションでは昔から見ないものの、かつて戸建てでは雨戸を設置する家が多かった。引き戸の雨戸に続いてシャッター型の者も多く存在した。何故か?調べたわけではないが、昔は窓ガラスの厚さが薄かったので悪天候時には何かが飛んできて破損することが多かったのではないかと考えられる。古民家を見ると3㎜程度の厚さしかなく華奢だ。現代では少なくとも6㎜はあるし、6㎜を使用する家も少なく実際はもっと厚い。だから台風前にガラスにガムテープを張って養生する家もなくはないが、レアといえよう。

さて、それはそうとして格子は面格子だけではなく他の用途でも使用される。もっとも大抵は格子ではなくルーバーなどと呼ばれているが。その代表格が外部階段を見えなくするために化粧として設置する目隠しルーバーである。今回はこれを取り上げたいと思う。

以前は目隠しルーバーといえば縦格子だった。面格子に縦格子が多いのと同じで、ルーバーといえば縦格子という暗黙の了解というか業界の常識というようなものがあったのかもしれない。しかし、時代とともに常識にとらわれないものが「おしゃれ」といわれるようになり、過去の常識を犯し始めた。格子以外についてはまたの機会に話すが、先人の知恵とは大したものなのにそれに反してである。それでどうなったか。

縦に続くと言えば横だ。横ルーバーが流行った。現在もまだ流行っているかもしれない。これに物申したいのである。例えば手摺の形状について、横桟タイプにすると子供が上るので特に公共建築ではよろしくないとされている。だから大抵縦桟タイプかガラスなどによる面形式が採用されている。一方外部階段などの縦ルーバーはどうか。上階については単なるデザインかもしれないが、最下部は防犯の目的もある。不審者が勝手に入ってくると困るからである。ところが横ルーバーとすると人が登れてしまうのである。ルーバーを高い所まで登ろうとする人は稀かもしれないが、物理的に登れてしまうのは確かでこういう設計はよろしくないと思う。そして、木製や人工木で横ルーバーを作ると、経年変化で垂れ下がってくる。町を観察すると、きっとそういう場面を発見するだろう。最近は暗い色のルーバーも多いが、横ルーバーは誇りがたまりやすい。黒色のルーバーなど、掃除しても一日で汚れるのが関の山である。だから私は、横ルーバーなど百害あって一利なしといいたいのである。

ちょっと違うかもしれないが、屋上に機械を配置したときに目隠しルーバーというものを設置することが多い。こちらはその性格上横ルーバーであることがほとんどだ。但しこの用途の場合には第三者が近くから見ることは無いので、例えホコリがたまろうが見た目には関係ない。このルーバーに特徴がある。全体の半分くらいの面積を隠せば目隠しとしての役割を果たせるのではないかと考えるかもしれないが、実はそうはいかない。機械がみっしり設置されていれば目角の役目を果たすかもしれないが、少しでもスカスカだと目隠しルーバーの向こう側の空が見えてしまう。その結果、ルーバーの中がはっきり見えてしまうのだ。ルーバーを傾斜させて開口率を保ち道路から見えなくすることは当然できるのだが、こういうルーバーは高価だ。だからと言って平面的に開口率50%とすると目隠しの役割を果たせないということを知っておかなければならない。大変経済的ではあるのだが、これは私の失敗談である。

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