第4話 トイレの話
私は小学3年生の時に引っ越しをした。新興住宅地の新築一軒家である。特に高級ということは無いが、新しい物好きの親父がウオシュレットの便器を付けた。痔持ちの親父はどこかのホテルに宿泊したときに経験し、自宅に反映させたのだった。1973年当時では珍しく、同級生の友人が遊びにくると珍しそうにいたずらした。当時は座っていないと水が出ないというセキュリティーがついていなかったので、いたずらした者はたいてい洋服を濡らしたものである。
それまでは、拭いても拭いてもトイレットペーパーが透明にならず便器を詰まらせたこともあったが、ウオシュッレットを使えば紙はほとんど使わない。節約したいということではなく、イライラの削減という意味で大変効率的だと思ったものである。
さて、私の娘は1999年生まれである。今でもスーパーなどのトイレに行くと和便器があったりする。古いホテルでも同じだ。洋便器は快適なのに何故和便器を残すのかと考えたことがあった。そんな時、幼稚園児になった娘が言ったことがある。洋便器は誰が使ったかわからない便器にお尻を付けるので不潔で嫌だと。そういう考え方もあるのだと、改めて思ったものである。
話は飛ぶが、5年くらい前に新潟は長岡市の花火大会に行ったことがある。新潟3大花火大会の一つで大変混雑する。有料席は当然入場制限があるのだが、河川敷に仮設のトイレが並んで設置されていた。たぶん20個くらいあっただろうか。仮設のトイレでも洋便器が普及してきていたので恐らく9割方洋便器だったのだが、いくつか和便器があった。トイレを待つ人は行列をなし100人以上並んでいたように思うのだが、和便器を使用する人がほとんどいなかったのを覚えている。和便器は行列どころか待たずには入れた。世の人は洋便器にすっかり洗脳されたのだと感じた。
さて、今回の本題に入ろう。水洗トイレは当然水を使用するが、その水量を知っているだろうか。東洋経済の記事の中にそのことに触れた記事があった。日本を代表する便器メーカーであるTOTOによると、1回に洗浄における現在の水量主流は4.8Lだそうだ。1975年以前20L、1976年13L、1993年8Lと書かれているが、ここでは大小別の記載がない。他の資料によると現在の設計は大4L、小3.5Lとある。ずいぶんと減ったものである。かつての我が家は1973年生だから一回に付き20Lも使用していたようだ。どこの知識か知らないが、母は節水するためにタンクに2Lのペットボトルを入れて貯める水量を減らしていたが、調べると結構ポピュラーな節水方法だったようだ。それでも一回18Lだからかなりのものだ。
さて、現在住んでいる我がマンションは2001年竣工なので、1回8L位であったようだ。当時大8L,小6Lといっていたと思う。その便器を使用しているとき、幼稚園児の娘がある発見をした。うんこしても小で流れるよ。試しにやってみると確かに流れる。太い時、固い時、柔らかい時、大人のブツでも小で流れるのだ。1回の差が2L、4人家族で1人毎日1回365日として2×4×365=2920L節約になる計算だ。たぶん私と娘は実施したが妻と息子は実施しなかったと思うのでそれでも1年1000L節約できたということになる。ところで、便器は昨年故障して新しいものに変えた。娘も息子も社会人となり家を後にした。最新式の便器となった。最新式なので大4L,小3.5Lだとする。さすがにこれだけ節水型だとブツは小では流れないかと実験してみたところ、流れた。0.5×1×365=180L節約というところか。別に詰まるわけでもないから皆やってみるとよい。国民全員がこれを行うだけで膨大な下水処理が不要となるのだからSDG’sに貢献できる。とともに、今後どれだけ減るのかに思いをはせた。
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