三部作の完結編。あまりにも切なく、透き通るほどに美しい。

 KAC2024のお題で、あえての短編連作、三部作の三作目(完結編)。
 連作で別作品となっているからこそ、それぞれが印象深く、より強く胸に残る、美しい構成。

 この完結編では、それまでの主人公の印象がガラリと変わるほど、衝撃を与えられます。
 けれど、その〝純〟とさえ言えるような主人公の心理描写が、巧みな文章表現力によって、率直すぎるほど胸に沁み込んできました。

 完結編に相応しい、全てを取り払ったかのような、主人公の澄んだ感情。
 透明な花のように。

 切なさもあり、哀しみもあり……。
 けれど透き通るほど美しく、のんびりと流れる雲のような優しい希望がある。

 どうか、同作者様の、
 一作目『透明な花と終わりに』
 二作目『透明な花と海』
 そしてこの三作目『透明な花とそれから』

 合わせてお読み頂きたいと、本気で願ってやまないほどです。

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