こもれびの家

 その日は晴天で、絶好のピクニック日和だった。

 森の広場に大判の布を広げて、ロルハとナツキは並んで座った。傍には藤のバスケットが置かれ、中にはナツキ特製のサンドイッチが入っていた。

 ユーフォルは切り株に腰掛け、ハープを奏でながら歌っていた。優しい音色は風に乗って広がっていく。

「そろそろお昼にしますか」

 ナツキの問いかけに、ロルハは微笑んでうなずいた。


 ロルハとナツキは、変わらず森の家で暮らしている。療養の日々は続き、ほんの少しずつではあるが、魔女の容体は回復の兆しを見せ始めている。

 ユーフォルは夏と秋の間旅に出て、冬と春に森の家へと帰ってきた。歌と共に生きる彼女は、自由を愛し、それと同じように魔女たちとの暮らしを愛していた。


 この先のことは誰にも分からない。けれど、今このひとときの安息は、確かに彼女たちのものだ。

 温かな春の木漏れ日が、森の広場を柔らかく包み込んでいた。

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こもれびの家 あおきひび @nobelu_hibikito

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