お狐様は許してくれない。

雨足が強くなる山の中を男性は走っていた。
これ以上びしょ濡れにはなりたくないと、急ぐ男性は山の中に古びた神社を見つけた。
悪態をつきながら上がり込むと、中は朽ちかけておりそこら中にカビも生えていたのだが、腰を下ろした男性は先客の少女に声を掛けられる。
「雷でビビってたら、この森で正気を保っていられないよ？」
不思議な少女に睨まれて、男性は罵詈雑言を浴びせる。
しかし少女は一切屈さず、男性にこう言うのだった。
「ほら憑かれているね」
果たして男性は何に憑かれているのかーー
この少女は何者かーー
これは短い一幕もない怪異譚。