概要
片想いが届かずに闇雲に夜を走り出した少年は、もう一つの片想いと出逢う。
走り出さずにはいられなかった。
馬鹿だった俺は、今も馬鹿みたいだ。
満月を何度も見上げつつ、空に手を伸ばしながら。
夜の中を歩いては走り、を繰り返し続けてる。
●
片想いのあの子が、電車の中で知らない男子とイチャコラしてた。
ただ、それだけ。
あっという間に色が消えた世界の中で、俺は電車を降りた。
俺の世界がどれだけあの子にに彩られていたのか、を思い知るに十分な出来事だった。
好きなのに、ぼんやりと何もしてこなかった自分に。それなのに、自分勝手に夢を見ていた自分。
●
空にどんなに手をかざしても、月に手は届かない。
思い知った。
わかってる。
でも。
でも、だ。
走らずには、手を伸ばさずには、いられなかったんだ。
そう。
もう一つの。
顔見知りの片想いを、見つけるまでは。
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