第10話惰眠の末路
俺はこんな家、いや、王国自体から抜け出したかった。
ここで、俺が学院に居るのは半ば強制だ。それは何故か。
そう、残念なことに、スペルが使えてしまったせいだ。
スペルは誰もが発現してすぐに使えるというものではなく、教会に行って使えるかどうか調べて確認する事で初めて判明する。
ちょうど5歳から8歳程で確認を終える貴族が殆どだった。
なので俺は敢えて、その国に一生を縛られる事が前提で勧められる教会へと足を運ぶことは無かった。
しかし俺は家の中で一日中に居て、暇すぎた。その為に何気なく書庫に行ってしまったのだ。
俺のその気まぐれな行動によって、人生が詰んだと言ってもいい。
その書庫でまだ読んだことがない古そうな本を読んでいたら、それが解読のされていない古代書であったことが判明した。
それを1番初めに教えてくれたのは、書庫に偶然居合わせた兄上だった。
ねぇ?なんで居るのかな??
メイドの目を盗んで逃げ出してきているのに、不思議だなぁ?
当時の俺は、まだ自分自身の異質さを理解していなかった。
その結果として、後日、連れてかれた教会で隈なく調べられ、確認された。
調べられて判明した事を端的に言えば、俺は他とは違う、異質なものらしい。
なんでもスペルを使って、その古代言語を翻訳しているのだと神官長は語っていた。
「 元より、より古い時代に作られた古代書は固有言語で構成されており、今の人類が使うスペルという言語はそれを噛み砕いたとても緩いものであるのです。その言語が使われていた時代、そのものを我々はこう呼びます。
その名は、 "神代''《かむよ》。当時にして最大の文明国家、ラグナロクが存在した時代。」
だからこそ、本来であれば読めないはずの古代言語を俺が読み解いた事で、父上と兄上、そして執事達や神官長が集まって教会の別室で謎の緊急会議していたのを覚えている。
その古代書の冒頭にはこう書かれていた。
『お主らは神のいた世界を崇めるか?』
『太古の昔、人々は高度な技術で文明、ラグナロクを興し、魔法という言語を用いて日々を暮らしていた。魔法は人々の暮らしの要であると同時にその当時の人々の身を守る手段であった。その大地には魔の巣食った物、''魔物''《まもの》が居た。そして、その人々が住んでいた時代をのちにこう呼んだ。''神代''《かむよ》と。』
『さて、終末の世代よ。お主らは、何を感じて何を考える。その力で何を成す。』
著ロマノフ・アゲルク
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薄っすらと目を開けると、燦々と降り注ぐ太陽の光がその瞳を刺激する。
「ふぁ〜。。。ん??あぁ、学院かぁ。何かもの凄く長くて、あんまり嬉しくない夢を見ていた気がする。にしても学院って本当に、全くもって凄いところだなぁ」
起き抜け早々に、俺は率直な感想を呟いた。
感慨深い。俺はとうとう、、、クラスメイトを敵に回してしまったらしい‥.‥ 。
俺を見つめる無数の目が、これでもかと目を見開いている。他にも、眉間に皺を寄せてこちらを凝視している奴もいる。何故だろうね。俺、今とっても嫌な予感がするよ。
その瞬間、教室の扉が爆ぜた。
え、何故?
「ロルド・ラインって居る?」
薄青色の瞳を持つ、爽やかな青年の声がする。俺はその声にドキリと胸を震わせた。
悲鳴と共に。。。
それでも君の世界は NEW @aruminn
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