第6話家の諸々

俺が我が家でもある、侯爵家を好きにも嫌いにもなれずに家を出て行けない理由は色々ある。



俺の侯爵家ってはっきり言って、末席にあたる。しかも派閥にも入っていない中立だ。


まぁ、虫食いの侯爵家とまで言われて、他の家門からも避けられているのは俺の家系だけだろうがな。

それか派閥争いのない辺境の地くらいだろう。




しかし流石は俺の家系。

お陰で裏工作が非常にやり易いらしい。


「人質、監禁、誘拐はお手の物。商団を装った盗賊や裏商売人の統率に加えて、暗殺組織は常備し、利子率は毎月17%にしていて、払えないものは順次奴隷となる。

利子率が高くて借りる者が居ないのが1番困るのでな、このくらいの方が回収が楽で良いのだよ!大概はこれで事足りるのに、何故か裏社会からも避けられているのだ。

何故だろうか?いや、悩むまでもないな!

我が領地が他より輝いているからに違いない!」

とは現侯爵家当主、アイデラ・ラインの言葉である。


「特にこの王国では、現国王のニーナになってから奴隷制度が無くなった事で裏商売が芳しくない。奴隷首輪付きでの商売の為に、それを見かけた者は国や私兵団、警備隊に報告しなければ即処分対象なのだ。

本当に物騒な世の中になったものだ。まぁ、他国に運ぶことが出来れば、どうとでもなるのだがな!ふはははッ!」

などと宣うのだが、実際に国も対応が後手後手になっているのは否めない。



そこら辺はこの王国の法の穴とも言える。


実際のところは貴族や市民層にも奴隷は行き渡っており、他国で流通、商売してから国に入れることは全くもって犯罪ではないのだ。



「それでも良ければ(黒字であれば)、それでいい。」との発言は兄上だったかが言っていた言葉だ。




本気で俺はこの家が好きでは無い。嫌いでも無いが。


どう考えても、黒い。初代侯爵は常識人だと聞いたことがあるが、それが本当なのか疑いたくなる。

そして、スペックの使い方を明らかに間違っている我が父上と我が兄上はここから一体、何処へ向かって行こうというのだろうか。




俺もこの侯爵家、もとい貴族に生まれたからには、それ相応の責任があることは自覚している。だがしかし、それとこれは全く同義では無いと叫びたい。



ここの人達は何処かに常識を置いてきたようだ。執事はその暴挙を止めて‥‥ない。寧ろ全力でフォローしている。。何故??



俺の物心ついた時には、母上は病気のため他界しており、この非日常的な光景に晒されていた。

叔父上は他国に移住していて、ここには居ない。多分居たとしても、父上と同じ血が流れている事だろう。


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