ゆらゆら想い漂えば

 今回のカクヨムコン9、いわゆる純文学系かそれに近い作品で傑作秀作が目立つ。

 本作もその系統……と、いうのは私の主観だとお断りも入れておくが……である。

 なにより成年と未成年の、まさに境い目という設定がいい。ぼつぼつ恋愛に憧れる恋愛は卒業しつつ、古典的なロマンスへの欲求もそれなりに保っている。

 ある意味傷心を抱えた主人公が、昔の淡い思い出の相手と再会したときに感じる心の痛み、傷。傷心と心傷。言葉遊びめいた語呂合わせは、しかし、たしかな質感を伴い読者の心に重なりあっていく。

 必読本作。

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