第7話 里親を引き受けたわけ

  いろいろと悩んで里親を引き受けることにしたのは、いろいろな理由があった。まずは、博たちの住んでいる場所は、その地域の住宅地だ。それも、当然、博たちの家の並びには、十件以上の家が並んでいるが、その中の博たちの家を、あの子はまさにピンポイント的に、私たちを選んできたかのように現れた。それも、ここがいいと言うのだ。

 なぜ、指名されているのだろう。指名されるような理由も思い浮かばない。

 その上に、保護施設の脱走を繰り返し試みるわって、他に行っても、本当にあの子なら、博たちの前に現れそうだ。3歳ぐらいで、言葉もまだ不十分なのに。あの子ならば、可能だとも思えてしまう。執念、ストーカーなどのマイナスな言葉ではない、むしろ不思議な能力でもあるかのようにも思える。


 それに、博と亜希はあの子の話しているときに、お互い意見が一致したことが繰り返しあった。その中でも、驚いたのは、なんとなくだが、あの子が誰かに似ている気がするということだ。

 そして、二人とも、体が調子よくなり、なぜか、気持ちもだんだん前向きに変わってきたことだった。何とかなるさという全く根拠のない確信が、里親になるという、これまでならあり得ない決断を後押ししたのだった。

そして、本当に里親になることになった。



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次回、更新は、1月4日にさせていただきます。

今後ともよろしくお願いいたします。

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