第2話 翌朝

 翌朝に、警察より電話あり、10時頃に、子供を引き取りに来ると連絡があった。また、その時点では 迷子、行方不明事件、保護者がいたかどうかなどの情報はまだないとのことであった。女の子は昨日、あの後、泣き疲れたのか、寝てしまい、亜希の隣でいっしょに寝た。朝、おきて、また、おとうさん、おかあさんのこと、どこから来たのか、聞いても、わからないようだった。朝ごはんはとりあえず、おなかが空いていたのか、普通の3歳児以上に食べていた。言葉は少なめで、やや遅れているのかもしれない。発音も子供ゆえの拙さもある。次男はしゃべるのが速かったが、長男は遅れていて、少し心配したことを思い出した。


 警察が、お迎えに本日は、男性2人、女性1人の3人態勢で来られ、一人の女性は、どうも児童相談所の人であった。当然、その子は、「ここ、ここ」と叫び、抵抗する。それでもなんとかパトカーに乗り、保護された。

 女の子がいなくなり、夫婦二人で、結局、なんだったんだろうという想いで、しばらく、会話がなかった。博が、いきなり、

「迷い猫の時は、秀樹が、動物嫌いで、絶対嫌と叫んでいて、雅人が、飼いたいって言ったけど、抱いたら、蕁麻疹がでて、そのあと、病院へ連れて行ったりして。」

「あの時も、どうしたら、いいのと思ったけど。でも、たまたま、タイミングで、雅人の友達が引き受けてくれたけど、あんなこともめったにないことだけど、今度は、女の子なんて・・・」

「男二人兄弟で、娘が欲しかったのは事実だけどね。今さら、この歳ではね。」

「あなたは、きっと、娘がいたら、くさいとか、私の服とお父さんのパンツをいっしょに洗濯しないで、とか言われて、落ち込んでるはずよ。」

「ひどいわぁ。それ、世の美しい女性は俺のことをみんな、結婚したがっているのに。この前も、女子アナのはるかちゃんが、俺にテレビから、ウインクしてくれたし。」

「中年のおっさんは、みんな勝手にそうやって都合よく思うの。本当に、おっさんの典型的な末期的症状やわ。」

「アッキー、ひどいね。」と博がミッキーマウスの声真似をして答える。

残念ながら、物まねは見事にスルーされた。

「しかし、気になる子よね。なぜ、うちなの?、ほかにも家があるし、猫のときといい、引き寄せるのかしら。」

「えっ、迷っている猫とか、人とか、うちは、捨て猫引き取るボランティアでも赤ちゃんポストでもないぞ。」

 そんなたわいのない会話をしながら、博は、そろそろ、ハローワークへ出かける準備をしている。今日は、定年退職しても、まだ働けるので、ハローワークでの手続きに行く予定だったのだ。まぁ、慌てる必要はないけれど、とりあえずは手続きしないと始まらないし。

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