第8話 里親開始

 遂にその日が来た。今日は、あの子を引き取る日だ。まだ、3歳ぐらいで、言葉は、なぜか最初と違い、普通よりも早いかもという話であった。ただ、発音が少しおかしなところがあった。しかし、名前も実は、本人もわかっていない。まず名前をどうするかという話もあったが、家族で相談して、環(たまき)にした。児童相談所に行くと、環が博と亜希に飛びついてきた。

 二人ともになんとなく、環がよかったと安堵するのが、わかった。3歳といえ、女の子だから、いろいろと相手するには、ためらわれることもあるかな、と男兄弟二人の子供しかいない博は思っていた。また、しばらくは、博たちになれるまで、様子を見るために、保育園にも入れなかったので、亜希に負担をかけるのも気になっていた。実際のところ、10歳程度(?)超えないとそこまで気を付けなくてもよかったようだった。亜希に頼まれ、いっしょにお風呂に入ったりしても普通の子供であった。それ以外の生活での問題はあまりなく、本当に普通の小さな子供であった。

 問題は、環は、明らかに近所でも知られている有名な存在なので、私たちをなんと呼ぶかであったが、なぜか、最初から

「おとうさん」、「おかあさん」

と呼ばれたので、そのままとなった。男の子とは違い、大暴れはなく、買い物をいっしょにいっても、特別、おねだりをすることもなく、おとなしい子供であった。秀樹、雅人との二人とは、これほど違うのかというほど、ある意味、楽に感じるほどであった。世間では、女の子のほうが、男の子に比べて、おとなしいといわれていたのをしみじみ感じた。なにせ、亜希の性格も、男二人の出産後は、完全に体育会系になってしまったし。覚醒とは、こうことなのかと内心怖さをも感じていた。心の中ではひそかに、スーパー亜希ちゃんマンと呼んでいたぐらいだ。しかし、実は一般の女の子以上に、特殊だったのは、後日、亜希が、他の親から聞いて気づいたのだが。

 そして、よく考えれば、誕生日もわからないので、結局、私たちの家に来た、12月2日となったのだった。



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遅れましたが、第8話をアップしました。少し更新がゆっくりになりそうです。。。。




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