第14話 その後
その後、大谷さんは、救急車で優子の病院に搬送され、やはり尿閉だったそうだ。(やっぱり、大谷尿閉だ。)おしっこを抜くための管を入れて、改善したらしい。血の検査でも腎臓の数値と炎症所見が異常だったため、数日は経過観察入院するとのことだった。
優子が、病院から戻ってきたら、
「環ちゃん、なんかすごいね。すぐにお腹に気づいたし」
「背が低いから。それに、そこにお腹があったから。」
「ああ、目線のこと。しかしまぁ、そこにお腹があったからってなによ。おねーちゃんは、あの冷や汗と苦しみ方みたら、すぐ、心筋梗塞か、大動脈解離か、急性膵炎とおもったけど。環ちゃんは、将来、お医者さんになる?センスあると思うよ。でも、これからは、医療は日本では、斜陽産業だし、ペイハラ、セクハラも増えているしね。女だから、私みたいに嫌な思いするのもかわいそうだし。」
これは、まずいと博は思い、
「まぁまぁ、まだまだ、先のことでしょう。ねー、環」
と優子の話を博は切った。
最近の医療関係者の不満は、サービス業とおなじで、お客様(患者様という表現が出てから、問題が出てきたという話もあるが)の奴隷になるわけではないことを、博も理解していた。ただ、まだ幼い環に、それを教えるのもはばかられるのは事実だ。もし、環が本当に医者を目指すなら、あまり夢を奪うような現実は少なくとも今は避けてほしいとも思った。
ふと思ったのが、今回、大谷さんは、環がそばに行ってもよくはならなかったなぁ、まぁ、当たり前かと博はなんとなく思った。
謎の子 荒俣 新 @Aramata-17
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