イイバの森に暮らす鳩達の物語

森の中を迷わずに歩ける鳩という存在。村同士の流通を担うために鳩は必要とされる。
十三歳の少女ユミは森の中で目覚め、鳩となるため孵卵の試験を受けていることを知り、彼女が住む村ウラヤに戻るために森の中を歩いていく所から物語が始まります。
鳩が持つ帰巣本能、それが彼女達に備った力なのでしょう。
その他にも、所々に鳥の生態などを喩えや名称として扱っているがこだわりが感じられて面白い所ですね。

行く先々で様々なトラブルに巻き込まれたり、別の村を訪問しそこで出会った人との交流があったりしますが、どのキャラクター達も皆、個性的で何処かクセの強い感じが魅力的です。

森や村を舞台にした静かな童話のような雰囲気の世界観の中で、キャラクターの心情心理が細かく描かれており、それが本作で最も力を注ぎ、重視されていることなのではないかと思いました。

御作のスピンオフ?作品である『あつまれ おねしょたの森』も合わせて読んでいただけたら、ユミとキリの二人に対して違う見方が生まれると思います(笑)

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