概要
群体ドローンと地上にひとり残された少年の友情。
眠りについた人類は戻ってこない。地球に取り残された少年は、自分は何者なのかという問いを抱えたままたったひとり生きる。人類を眠りにつかせた原因である食物テロのために地上の食糧は限られており、逃れようのない飢餓が迫るそんなとき、彼は虫型の極小ドローンの群れと出会う。軍事用に製造されたはずの虫たちだったが、なぜか少年と不思議な共生関係を結ぶに至る。少年はドローンの群れにサルーという名をつけたのだった――さなコンで最終選考に残った作品をリライトしたものです。個人的に思い入れもあり、まだまだポテンシャルを秘めていると作品だと信じています。
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- ★★★ Excellent!!!人類とバナナについて
あなたが昨日スーパーで見かけたバナナは、実は遺伝子的に均一な品種である。種子が見えない(種が完全に存在しないわけではない)これらのバナナは株分けによって増殖し、全ての木は同じ遺伝子を持っている。遺伝的多様性の欠如は、生物としての脆弱性につながる。事実、1960年代にパナマ病によって旧来のバナナ品種のほとんどが壊滅した。
その憐れなバナナの名はGros Michelといい、今日の市場で95%を占めるCavendish種よりも甘味と香りが優れていた。しかし、病気に対する耐性がないために絶滅の危機に瀕した。Cavendish種も同様の運命に直面している可能性がある。あなたが明日も同じバナナを食べら…続きを読む - ★★★ Excellent!!!美しく歪んだ未来の悪夢
十三不塔さんの作品を初めて拝読しました。
カクヨムでこんな本格的なSF小説を読めるとは、うれしい驚きです。
人間の二大欲望、眠ることと食べることがテクノロジーによって歪んだ未来像に結実し、不思議な美しさと切なさを感じさせてくれる作品です。
極小ドローンとのコミュニケーションが面白い。
むかし「燃える昆虫軍団」というパニック映画で、知能を持ったゴキブリが並んで文字を形作るシーンがあったのを思い出しました。
もしかしたら、この極小ドローンたちが移眠した人間たちの行った先だったのでは?と思ったりしました。
だから、最後は主人公もドローンになったのでは…と。
暗い美しさのある、悪夢にも似た好編…続きを読む