人の怖さを描いたホラー。通称ヒトコワが好きな自分ですが、このホラーは『怖い人』ではなくて、『誰の中にでもある怖さ』を描いているところが秀逸だと思います。誰しも一度は『誰かを××したい』と思ったことが一瞬でもあるはず。そう考えると、人間って怖い部分も併せ持った生き物ですよね。
自分は平和に過ごしているつもりでも、見えないどこかでは殺人が行われている。だからニュースにもなるし、法律だってある。そうと分かっていても、大抵の人にとっては殺人というのはどこか遠い出来事。なら、殺人が身近になる瞬間はいつ?本作の中に、その答えの一つが見つかるかもしれません。
短編なのに、とても深いお話だと思います。それに、この作品は人によって解釈・受け取り方が違ってくるんじゃないかな?とも思います。私的には、そこがこの作品の面白い所であり、凄さでもあると思いました!肝が冷える様なゾクゾク感も味わえるので、かなり充実する作品です!
後を引く見事なテーマと締めでした。誰もが一度は考えたことがあるであろう話を綺麗にまとめて、最後に少し濁った余韻を残すという作者様の筆力に脱帽です。自分だったら・・・それは考えすぎじゃ・・・そうだよね・・・と、ついつい読了後も考え込んでしまう物語。自分の中で一線がどこに引いてあるか見つめ直して答えを出すような作品はなかなかないので、一度読んでみることをお勧めします。
短い中にギュッと詰まったお話です。とにかく起こること、主人公の恐怖がリアルティ溢れるものです。主人公の思いついてしまったこと、それに対しての友達の回答。あなたはどう感じるでしょうか。ぜひご一読ください。
短編とのことで詳しい内容には触れないでおきます。読後感は考えさせられるの一言。倫理観を問うような内容で、回答を読者に委ねるようなものであるからです。思考と行動。実行するか否かで結果が異なってしまう。人の本質について考えさせられる作品でした。お勧めです。
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