第13話 【学校へ・2】


「あら、その箱はどうしたの?」


 家の中に戻ると、母さんは俺が持ってる箱を見てそう言った。


「ギルドとかパーティーの勧誘の手紙らしい。協会側で止めてたらしんだけど、一応本人である俺に見せないと行けなくて持ってきてくれたみたい」


「そんなに沢山……凄いわね」


 その後、俺は母さんから「手伝いは良いから手紙の確認をしてても良いわよ」と言われて、俺は自室で手紙の確認作業を始めた。

 中身を確認していったが、本当に色んなギルドやパーティーからの勧誘の手紙だった。

 中には好待遇をするので、是非来てくださいと言う感じのものまであった。

 そうして4分の1程読んだ所でご飯が出来たので、確認作業は後でにして夕食を食べる事にした。


「チラっと大量の手紙があるのが見えたけど、蓮あれは何なんだ?」


「あ~、勧誘の手紙だよ。ほらっ、この間ダンジョン攻略に言ってたでしょ? その時に実力一部を見られたみたいで、そこから噂が回ったらしいんだ」


「あ~、成程な……蓮はそれでどこか入りたいギルドとか見つかったのか?」


 父さんの言葉に俺は口の中を飯を飲み込み、「特にないかな」と言った。

 正直、国の中でも有名なギルドからもいくつか来ていたが、魅力的だとは感じなかったし、デメリットの方が大きい気がした。


「拘束時間とか、協会からの依頼とか考えたらデメリットの方が大きいと思うんだよね」


「そうなのか? 俺達の認識だと、上位のギルドはかなり待遇が良いと思うんだが」


「まあ、確かに金払い面は良いけど俺にとってそこはね……多分、稼ごうと思えばいくらでも稼げると思うから」


 前回のダンジョンだけでも数十万稼げた。

 多分、この感じだと一ヵ月もあれば数百万は余裕で稼げそうだ。


「それなら自由な方がいいし、自由が良いなら今はギルドに入る意味が無いんだよね」


「あ~、まあ蓮の実力ならその選択もありだね」


「それに蓮はこれから学校も通うし、拘束が無い方が楽だもんね」


 父さん達も俺の意見を聞き、納得していた。

 その後、夕食を食べ終えた俺は風呂に入り、寝る間での間に手紙の確認を少し進めた。

 翌日、俺は両親とクロ姉さん達共に俺が入学予定の学園へて来た。

 学園の名前は【探索者育成学園】という名で、日本全国にまだ三ヵ所しか造られてない。


「へ~、意外と大きい学園だね」


「協会がお金を出して作ってる場所だからね。他の所もこれと同じ位だけど、日本の中で一番大きいのがこの場所だよ」


「設備面は確かにいいけど、授業面がね……正直、ここ数日の蓮君の戦闘訓練の方が良かったわ」


「まあ、俺の場合は五年間の実戦経験があるからね」


 この数日間、姉さん達に勉強をみてもらい、その対価として俺は姉さん達に戦闘訓練を付けていた。

 その内容は俺が異世界で師匠達から習った事をそのまま教えたり、自分なりに考えた方法を伝えた。

 特に魔法面に関しては、特に頑張っていてアカ姉は俺の魔法学を教えると、短期間であはあるがかなり成長した。


「魔法に関して、この世界で誰よりも詳しいのは蓮君だと思うわ」


 教えてる際、アカ姉からそう言われた。

 しかし、俺にとって魔法は面白いという理由で習っていたものだ。


「蓮君の場合、前衛の技術も高いから学園に入っても蓮君が教えて貰う側じゃなくて教える側になりそうだよね」


「普通の勉強の方は遅れてるし、そっちを頑張るつもりだよ」


 そんな話をしながら俺達は学園内に入り、試験を受ける場所へとやって来た。

 職員の人達は、一緒に来ていたクロ姉達が居た事に驚いていた。


「えっと、一条さんとお知り合いなんですか?」


「はい。家が隣で幼馴染の関係です」


 職員の人は俺と一条さんが幼馴染の関係性という事に更に驚いていたが、既に受付の時間となっているので手続きをしてくれた。

 今回の試験内容は二つ、実技試験と筆記試験の二つ。

 実技は戦闘能力か補助技能というもので、補助に関してはサポート系の能力を評価してくれるという内容だった。


「どっちもある場合って、どっちもやった方が良いんですか?」


「大丈夫ですよ。その分、試験に加点がされます」


 そう説明を受けた俺は、できるだけ点数をとれるように頑張ろうと意気込んだ。

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