第3話 【帰還・3】
クロ姉達と一緒に公園に戻って来ると、クロ姉達は同時に「何で元に戻ってるの!?」と驚いた声を出した。
「その反応から見て、ここも他の所と同じように廃墟みたいな感じになってたの?」
「ええ、それも私達があの魔物と戦う前に見てたから一時間前は他の場所と同じだったわ」
一時間前と具体的な時間もクロ姉から言われ、そうなるとここだけ元に戻ったのは何かしらの理由が……。
「あ~、もしかしたら神様が俺をこの世界に戻す時に元に戻したのかも?」
「神様……確かにその可能性が一番考えられそうね。それにしても、昔はいつでも見れてた公園を見ただけなのになんだか涙が出そうだわ……」
クロ姉は公園を見つめながらそう言うと、ミズ姉達も同じような事を言った。
その後、一先ずクロ姉達が拠点してる街まで戻る事になり、近くに止めていた車に乗り移動する事にした。
そして車に乗って移動を始めて30分程経ち、周辺が普通の街中っぽい感じに変わって来た。
「街中って感じになってきたけど、廃墟なのはあそこ一帯だけなの?」
「この変だとそうね」
「正直、私達の地元だけ何でって思う所はあるけど、運が悪かったと今は思ってるわ」
クロ姉達とそんな話をしながら車に乗っていると、運転をしていたミズ姉が「着いたわ」と言って車を止めた。
到着した場所はクロ姉達の拠点であり、俺とクロ姉達の地元の人達が住んでるマンション。
そのマンションの入口には少し老け込んではいるが、俺の両親が立って待っていた。
「父さん、母さん。ただいま」
車から降りた俺は直ぐに父さん達の所に行くと、二人は勢いよく俺に抱き着いて来た。
二人は涙を流し、そんな二人の涙に俺もつられ「心配かけてごめんね」と謝罪をした。
それからこの場所で色々と話せない事もある為、クロ姉達も一緒にマンションの中に入り、父さん達の家に移動した。
「異世界に召喚……この世界におかしな事が起きたと思ってたが、それ以上に蓮もおかしな事に見舞われていたのか」
父さん達の家で5年前のあの日からの話をすると、父さん達は驚いた顔を何度もしながらも話を理解してくれた。
「まあ、でも蓮がこうして無事に戻って来てくれただけでも私は嬉しいわ。本当に良かったわ」
「ああ、本当にな……黒羽ちゃん達も蓮の事を直ぐに連絡してくれてありがとう」
「いえ、ずっと探していたのは私達も一緒でしたから」
その後、クロ姉達は後は家族だけでと言って家を出て行った。
まあ、出て行くと言ってもクロ姉達の家は隣だったみたいで、いつでも会えそうな関係性ではある。
「そう言えば気になってたけど、父さんってそんなに傷だらけだったけ?」
「世界が変わってから俺も探索者として活動をしてたからな、これは最初の時に付いた傷で魔法や薬で治せるには治せるが金額が高くてな」
「そうなんだ。それなら俺が治すよ」
父さんにそう言って、俺は【聖属性魔法】を父さんに使い自然治癒力を活性化させて父さんの傷を治した。
傷が治っていった父さんは傷だけではなく、何となく若々しさも取り戻していた。
「い、今のは回復魔法!? 蓮は魔法も使えるのか!?」
「これでも勇者だったからね。全ての属性魔法に適性があってその中には【聖属性魔法】もあるから使えるようにしたんだ」
「……ねえ、蓮。その魔法私にも使って貰えるかしら?」
「母さんも? 良いけど」
父さんの姿を見て驚いていた母さんは、自分にも掛けて欲しいと言ったので魔法を使った。
すると父さんの様に傷がなかった母さんだったが、父さんの様に少しだけ若々しさを取り戻していた。
「やっぱり蓮の魔法は、この世界の回復魔法とはちょっと違うみたいね」
「そうなの?」
「ええ、回復魔法を使ってる現場を見た事があるけど、今みたいに若さを取り戻したりしてなかったわ」
「う~ん……原理は多分同じだと思うけど、使い手のレベルが低いからじゃないかな?」
スキルにもレベルがあるから、使い手次第で効果は変わってくる。
異世界で活動してる時も同じ魔法でも、スキルレベルが違うとレベルが高い方が効果は良かった。
「後は本人のレベルも関係してくるね。俺のレベル、多分この世界だと最強レベルだから」
「……一体いくつなんだ?」
「900だよ」
クロ姉達にこの変わった世界について聞いてる際、レベル等も聞いていた。
その際、一番レベルが高い人で200位で平均は80前後だと聞いていた。
「900って今の最高レベルの探索者の何倍も上じゃないか!?」
「蓮、本当に異世界で凄く頑張ったのね」
父さんは驚き、母さんは俺の苦労に対して再び泣きそうな顔をした。
その後、今日は既に遅い時間帯の為、父さんと一緒に風呂に入り5年振りに母さんの手料理を食べ。
父さん達から頼まれ、家族三人で一緒に寝る事にした。
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