帰還した元勇者は現代で無双する
霜月雹花
第1話 【帰還・1】
ゲームやアニメで見ていた〝剣と魔法の世界〟は実在する。
その事実を知ったのは、俺がまだ10歳の頃だ。
「勇者様! どうか、世界を救ってください!」
「……へ?」
俺の名前は、
10歳の誕生日を迎えた日、部屋で誕生日にどんなプレゼントを買ってもらおうかなと考えていた俺は突然の出来事に混乱した。
それは向こうも同じみたいで、突然子供が現れて首を傾げていた。
「あの、勇者ってどういうことですか?」
「えっ、あっ、その、魔王が出現しまして、その魔王を倒してくださる勇者様を召喚したのですが……」
俺に一番近くに居たローブを着た女性は混乱した様子でそう説明をすると、周りに居た人達も混乱していた。
それから、ローブを着た女性に連れられて王様の所へと行く事になった。
王様もまた俺の姿を見て、「この者が勇者なのか?」と非難すると言うより、混乱に近い様子で言った。
そして、その場で【鑑定魔法】と異世界らしい魔法が使われると、俺が〝勇者〟である事が分かった。
「勇者様、なのは間違いないんですが……流石にこんな子供を魔王討伐には……」
「いや、儂もそう思うが魔王が既に復活しておるしな……」
最初こそ、威厳のある感じの王様だったが俺がどうみても子供だった為、不安いっぱいの表情で鑑定使いのおじさんと話していた。
「あの、もし俺に勇者として相応しくないなら他の勇者を召喚とか出来ないんですか?」
「……あの勇者の召喚魔法は、魔王が現れた時に使える魔法なんだ。帰還するには魔王を倒さないと帰す事も出来ない上に、別の勇者を召喚も出来ない」
「……マジですか」
俺の言葉に鑑定使いのおじさんと王様は、不安いっぱいの表情で頷いた。
◇
それからは色々ととんとん拍子で進んだ。
10歳と幼い俺には多くの指導者が付き、様々な事を異世界で学んだ。
召喚された日から5年。
沢山の師匠や仲間達と異世界で過ごし、俺はこの世界に召喚された目的である魔王の討伐に成功した。
魔王を討伐して直ぐに、俺の体は光に包まれ少しずつ粒子になって消え始めた。
「レン、これでお別れだな……」
「……皆との旅、俺は凄く楽しかったよ。この世界に来た時は、不安で夜も寝れない日とかあったけど、それでも色んな経験が出来たのは今思えば良かったと思えるよ」
仲間達に俺は自分の思いを伝えた。
異世界に召喚されて5年、辛い事も勿論あったが、それ以上に仲間達との旅は俺にとって凄く大切な思い出となった。
「レン! 向こうに戻っても俺達の事は忘れるなよ! 俺達は一生親友だぞ!」
召喚された国の王子であり、俺と共に成長して来た親友は涙を流しながらそう叫んだ。
その言葉に俺は強く頷き。
「勿論だ! 絶対に皆との思い出は忘れない! 皆、本当にありがとうッ!」
そう俺は親友、仲間、師匠達に自分の思いを叫び。
その次の瞬間には、俺の意識は消え去った。
「……ここは?」
光の粒子となって消えた俺は次に目が覚めると、辺りが真っ白な空間へと来ていた。
そこで俺はもしやと思い、ふと待っていると。
目の前に見覚えのある人物が現れた。
「レン。私の管理する世界を救ってくれて、本当にありがとう」
「当然の事、というより帰る為には倒さないといけませんでしたからね」
「最初は私も不安だったのよ? まさか、魔王を倒せる人物で召喚した勇者が幼い子供で、自分が間違えたのか不安だったけど、直ぐにそれは杞憂だったって思ったわ」
多分、神様が言ってるのは俺があまりにも異世界への順応が早かったからだろう。
召喚されて直ぐに訓練を受け始め、魔物を始めて倒したのも召喚されて一週間も経ってない頃だった筈だ。
正直、自分でもあまりにも早く受け入れたなと今でも思う。
「向こうの世界だと、こういう世界に転生やら召喚されたりする話が沢山あって、自分もそういうのに憧れてたおかげですね」
「レンからその話を聞いて、私も読みたくなったのよね。もし、こっちの世界の調整が済んだら一度、様子見に行こうかしら」
「是非、来てください。出来れば俺が生きてる内に来てくれたら、俺も嬉しいです」
神様と最後に楽しい会話をした俺は、再び意識が遠のいていく感じがした。
「今度こそ、元の世界に帰るんですね」
「最後にレンにお礼を言いたかったのよ。本当にレンには感謝してるわ」
神様のその言葉に返事をしようとしたが、既に意識が遠のいて行っていた俺は言葉を返せずにそのまま光の粒子となって消えた。
そして次に目が覚めた俺は、見覚えのある公園のベンチに座っていた。
「ここ、昔俺がよく遊んでいた公園? って事は、本当に帰って来たんだな!」
懐かしい景色に胸が躍っていた俺は、自分に近づいて来た生物に気付くのが遅れた。
咄嗟に勇者時代に身に着けた危機感が発動し、その場から数m離れた俺は先ほどまで俺が居た所へと視線をやった。
「な、何でこっちの世界に〝ブラックウルフ〟が居るんだ!?」
その生物は、異世界で何度も倒した事のある魔物だ。
「グルルル」
「チッ、驚いてる場合じゃないな。取り合えず、あいつを倒してから考えよう!」
俺は咄嗟に武器になる物を探し、近くに落ちていた木の棒を拾い戦闘態勢に入った。
木の棒で戦おうとしてる俺に対し、ブラックウルフは俺に脅威を感じないのか、俺の事を〝獲物〟と認識して近づいて来た。
「チッ、舐められたもんだな。これでも元勇者なんだぞ!」
犬っころ相手に舐められた態度をとられた俺は、若干イラつきながらブラックウルフの行動を待った。
ブラックウルフは俺から一m程離れた所に着くと、隙だらけの格好で飛びかかって来た。
俺はそのブラックウルフの胴体へとサッと移動し、木の枝で腹部を叩きつけようとした。
これで行動が制限出来るだろうと思っていた俺だったが、俺の予想は外れた。
「い、今の威力は何だ!?」
木の棒で叩きつけた筈のブラックウルフは、胴体が半分に切られて絶命した。
さっきもブラックウルフの攻撃を咄嗟に避けたり、こっちの世界じゃありえない身体能力をしていたよな……。
「……す、ステータスオープン」
俺は半信半疑のまま、異世界で自分の能力を確認する際の言葉を口にした。
すると、目の前にはこの数年間、何度も見た事のあるステータスボードが現れ。
そこに表示されていた数値は、異世界で苦労してあげた能力値のままだった。
✤
名 前:一ノ瀬 蓮
年 齢:15
種 族:人間
職 業:魔法剣士、(元勇者)
性 別:男
レベル:900
スキル:【鑑定:MAX】【武術:MAX】【属性魔法:MAX】
【索敵:MAX】【隠蔽:MAX】【身体強化:MAX】
固 有:【アイテムボックス】【全言語】【超成長】
能 力 【状態異常耐性・全】
称 号:世界を救った者
加 護:異界神の加護
✤
「見覚えのある所もあるけど、所々変化もしてるな……」
職業に関して、元は勇者しか書かれていなかった。
しかし、今は新しく魔法剣士が先に表示されて、後ろに表示されてる勇者は()の中に入れられて薄く表示されてる。
他に変わった点と言えば、称号に関しても元は〝異世界人、世界を救う者〟や他にも功績毎に追加されていた筈だ。
「称号に関しては、若干見にくいなと思ってたから良いんだけど。どうして、この世界でステータスが表示出来るんだ? それにさっきのブラックウルフも、この世界に居ない筈の生物が何でこんな所に……」
戻って来て直ぐで情報が全くない俺は、異世界に召喚された時よりも混乱していた。
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