第12話 【学校へ・1】
はじめてのダンジョン探索から数日が経った。
本当はもっとダンジョンに通うか迷ったが、学校に行くなら少しでも勉強しておいた方がいいな思いクロ姉達に勉強を見てもらっていた。
「蓮君、意外と勉強出来るんだね」
「そう言えば、蓮君が居なくなる前も勉強で困ってる姿は見た事はないもんね」
「確かに言われてみれば、蓮君って前から運動も勉強も出来てたよね」
クロ姉達は俺が勉強出来る姿を見て、昔の事を思い出しながらそう言った。
確かに俺は昔から、勉強も運動もそこそこ出来ていた。
その理由として大きいのは、両親の教育によるものだ。
運動関係は小さい頃、父さんは一緒にサッカーやキャッチボールをしたりと色んな事をしてくれていた。
そして勉強に関しては、母さんが小さい頃から見てくれて嫌いになる事無く学校も楽しく通っていた。
「まあ、得意な方でいえば異世界に行ってたおかげで運動の方なんだけどね。異世界だと勉強より、運動の方が大事だったから」
「そうなるよね。でも5年のブランクがあるのにもうこんなに解けるのは、凄いと思うよ」
「というか、私が現役だった頃よりちゃんと解けてるの素直に悔しいわ……」
クロ姉がそう言うと、ミズ姉達も「私達も怪しい……」といった感じでミズ姉達も俺に釣られて一緒に勉強をしていた。
その後、今日の勉強会は終わり姉さん達を見送り、母さんが夕食の準備を始めたのでそれの手伝いをする事にした。
「……蓮。包丁は握らなくてもいいわよ」
「母さん、これでも異世界で旅をしててその時に料理もしてたんだよ? 少しは息子の成長を信じてよ」
「ええ、大事な息子の成長は信じたいわ。でもね。そんな包丁の持ち方をしながら言われても信じられないわ」
母さんは俺の包丁の握りを見て、絶対に料理をさせないという雰囲気だった。
俺はそんな母さんに成長を見て欲しいと抗議をしたが、簡単な料理の時に見ると言う事になり今日は皿の準備等の簡単な手伝いだけとなった。
「黒羽ちゃん達との勉強会。今日も頑張ってたけど、どう?」
「うん。習ってない箇所はあったけど、母さんがその辺も教えてくれていたおかげでそんなに苦労しなくても高校生レベルまではいけそうだよ」
「蓮があの時は勉強を頑張ってたから、私もつい年齢以上の分も教えちゃってたのよね。勉強をさせすぎかしらって不安に思ってたけど、結果的にやって良かったわ」
そうして俺は母さんの手伝いをしながら、明日からの事を考えていると玄関のチャイムが鳴った。
母さんは料理で手が離せず、父さんも今はジムに行ってていない為、俺が見に行く事にした。
「ん? 何で里香さんが居るんだ?」
玄関の外を見ると、何故かそこに協会の里香さんが居た。
「どうしたんですか、こんな時間に」
「蓮さんに渡す物がありまして、それの届けに来ました。本来は別の署員が担当するのですが、その方が丁度怪我をしてしまって知人である私が来ることにしたんです」
「成程、そうだったんですね。で、渡す物ってその箱ですか?」
里香さんの隣には、両手で抱える程の大きな箱が置いてあった。
「蓮さん、先日のダンジョン攻略の際、近くに他の探索者がいたみたいで蓮さんの実力がかなり広まってしまったようなんです」
「あ~、あの時は隠すつもりは無かったですからね……」
「それで今は蓮さんがギルドやパーティーに所属するつもりは無いと言っていたので、接触は協会側から止めているのですが紹介状だけでもという方々が沢山居まして……」
そう言いながら里香さんは箱を見ながら、「箱の中身は全て勧誘の手紙になります」と言った。
「……多く無いですか?」
「国内には沢山のギルドがありまして、更にパーティーからの勧誘からもありますからね……」
その話を聞いた俺は、取り合えず箱は受け取る事にして里香さんにお礼を言い家の中に戻った。
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