第11話 【はじめてのダンジョン探索・4】


 その後、休憩を終えた俺達はこのダンジョンのボスに挑む事にした。

 ダンジョンのボス、そのダンジョンで出現した魔物の上位個体で倒す事でダンジョンのコアが出現する。

 そして、そのコアを壊す事でダンジョンを破壊する事が出来る。


「ゴブリンロードか、少しは楽しめそうだな」


 ボス部屋の外からボスを確認すると、このダンジョンのボスはゴブリンロードという事が分かった。

 ゴブリンロード、ゴブリンよりも二倍の体格をしており、大きな戦斧を持っている。


「クロ姉達はどうする。一緒に戦う?」


「そうね。ここまでずっと見てただけだし、動きたい気持ちではあるわね」


「同じく、蓮君の戦い見てたら戦いたくなったわ」


「でも私達でゴブリンロードの相手できるかしら……」


 クロ姉達は参戦したい気持ちはあるけど、ゴブリンロードと戦うのを不安に感じているみたいだ。


「それだったら、俺がゴブリンロードと戦うからクロ姉達には周りのゴブリンを相手してもらえる? 多分、俺達が中に入るとハイ・ゴブリン達が現れると思うから」


「ハイ・ゴブリン。それならなんとかなりそうね」


「ロードに比べたら大丈夫そうね。でも何体位出て来るのかしら」


「そうだね。まあ、部屋の広さ的にも5体も出てこないと思うから姉さん達の実力なら大丈夫だと思うよ」


 そう俺は言い、部屋に入ってからの作戦を決め俺達はボス部屋の中に入った。


「——グルォッ!」


 ボス部屋に入ると、佇んでいたゴブリンロードは目を覚まし雄叫びを上げ、周りに3体のハイ・ゴブリンが現れた。

 事前に決めていた通り、まず最初現れたゴブリンとロードを分ける為、俺の【風属性魔法】でロードとゴブリン達を離した。

 そして離したロードの方に俺が向かい、ハイ・ゴブリンの方には姉達が攻撃を仕掛けた。


「グ、グルォ!」


「流石、ロード個体だなもう起き上がったか」


 俺の魔法で壁に直撃したロードだったが、平気な顔をして起き上がり俺の事を敵と認識して突撃してきた。


「ロードなのにこっちのは知能は低いみたいだな」


 異世界で戦った事のあるゴブリンロードは、戦略的で俺がまだ成長途中の時に戦い苦戦した覚えがある。

 そんな記憶がある俺は、今目の前に馬鹿みたいに突っ込んでくるロードを見て少し残念に思った。

 長引かせても意味が無いと思い、俺は剣を抜きロードの首を斬り飛ばした。


「少しは楽しめると思ったんだけどな……もう少し難しいダンジョンに行くまではおあずけかな」


 そう俺は思いながら姉さん達の方を見ると、姉さん達も無事にハイ・ゴブリン達を倒していた。

 その後、俺達はダンジョンコアを破壊し、ダンジョンの外に出た。

 外に出た俺達はダンジョンの攻略を外で待っていた凛さんに伝え、攻略の報酬を協会に貰いに行く事にした。


「探索者になったばかりなのに、もうダンジョンを攻略したんですか……」


 協会に到着した俺達は、昨日手続きをしてくれた里香さんに報告をすると、何とも言えない表情を浮かべていた。


「里香さんの気持ちはよく分かるわ。私達も一緒に行ったけど、ほぼ蓮君だけで攻略してたわ」


「昨日の実力が本気だとは思ってませんでしたが、Cランクダンジョンをほぼ単独で攻略なんて本当に凄い実力ですね。蓮さんはどこかのギルドとかパーティーに入るとか考えては無いんですか?」


「う~ん……今の所は特にギルドとかに入る気は無いですね。どんな所があるかも知りませんからね。それにパーティーに入るとしたら、姉さん達の所以外は考えてませんね」


 他の人のパーティーが気にならないと言えば嘘になるが、入りたい気持ちはほぼ無いに等しい。


「まあ、そうですよね。黒羽さん達、三人でも十分強いのに蓮さんも加わると更に知名度が上がりそうですね」


「これ以上知名度が上がると日常生活に支障が出そうね」


「蓮君も気を付けてね。ギルドに入ってない=勧誘しても良いって対象に見られて、周りが煩くなるから」


「うん。父さん達からも言われてるから気を付けるよ」


 それから報酬を受け取り、絶対に四等分にするという俺の断固とした意志により、報酬を断っていた姉さん達にも報酬を渡した。

 そして報酬を分け終えた俺達は攻略中食事が出来ずにいた為、少し遅れたお昼ご飯を一緒に食べに行った。

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