第15話 【学校へ・4】


 店の中も造りは良く、流石高級店だなと感心しながら俺は歩いて行った。

 そして個室へと案内され、席に座り注文はおススメでクロ姉は言い店主は部屋から出て行った。


「クロ姉、慣れてるね。結構、通ってるの?」


「通ってるって程じゃないけど、程々にね」


 それから、食事が届くまで今日の試験での事を話しながら待つ事にした。

 その後、10分程してから食事が届き、その豪勢な料理を前にして俺は目が奪われた。


「凄く美味しそう……」


「ふふっ、蓮君もそんな顔するのね。ここに連れて来て良かったわ」


 クロ姉はそう言い、俺達は食事を始めた。

 食事中、本当だったら話とかしようと思っていたが、出された料理が美味しく話もせずに食べ続けた。


「あ~、美味しかった」


「蓮君沢山食べてたね。そう言えば、異世界だと醤油とかお米とかってあったの?」


「米に関しては最初は無かったけど、何とか見つけて栽培方法はうろ覚えの知識で試行錯誤して2年位掛かったけど食べれる所まで行けたね」


 異世界に召喚されて一ヵ月程経った頃、米が好きな俺は城の人達に米について説明をして色々と似た物が無いか探してもらった。

 しかし、米は見つかる事はなく召喚されて半年が過ぎた。

 その頃には訓練にも身が入らなくなっていた俺は、王様に頼み込んで米の捜索を第一優先として動く事を許してもらった。


「蓮は確かにお米が大好きだしな、よく半年も耐えられたな」


「毎日苦痛だったけど、強くもならないといけなかったからね」


 当時の事を思い出し、俺は少しだけあの頃の辛さを思い出した。

 その後、食事を終えた俺達は店主に挨拶をして店を出て、そのまま家に帰宅した。

 帰宅した俺は、試験は無事に終えはしたが勉強を疎かにしたら駄目だと思い軽く勉強をする事にした。


「あら、蓮君今日試験があったのに勉強してるの?」


「うん。やっぱりまだ詰め込んでおきたいなって思ってね。学校に行く様になってから勉強に苦しむの嫌だからね」


「計画的ね。それじゃ、夕食になったら伝えに来るわね」


 母さんはそう言うと部屋から出て行き、俺は夕食まで勉強を続けた。

 試験から数日後、試験結果が送られてきて無事に合格する事が出来た。


「心配はしてなかったけど、無事に合格出来て良かったわね」


「流石、俺達の息子だな」


「まあ、俺も心配はしてなかったけどこうして合格の通達みたら安心したよ」


 封筒に入ってた合格通知を見て、俺はそこまで心配はしてなかったがこうして実際に〝合格〟という文字を見て安心をした。

 その後、制服の採寸をしに行ったりと試験から一週間が経った頃、俺は五年振りに学校に登校する事にした。


「アカ姉達、ここ最近俺とずっと一緒に居るけど仕事とか学校とか大丈夫だったの?」


「探索者の方は朝とかに行ったりしてたし、学校は普段からこれだけ行かない日今までもあるから大丈夫だよ」


「そうそう。行ったとしても殆ど挨拶だけしたり、授業には殆ど出ては無いんだけどね。探索者で実績詰んでて良かったわ」


 そんな話をしながら、俺達は学校へと向かい試験日以来に学園へとやって来た。

 試験日は授業がやってる時間に来たので人は少なかったが、今は授業時間では無いから人がかなりいる。


「……なんか視線集まってない?」


「私達有名だからね~」


「そんな私達と一緒に蓮君が居るから、皆不思議がってるんじゃないのかな?」


「あ~、うん。次から姉さん達とは来ない方が良いのかな……」


 周りの雰囲気を見て俺がそう言うと、アカ姉達は「そんな酷い事言わないでよ!」と俺の肩を掴み揺さぶって来た。

 そんな姉さん達の反応を見て、周りは更にザワザワしだし、さっさと自分のクラスに行った方がいいと思い早歩きで建物の中に入っていった。

 

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帰還した元勇者は現代で無双する 霜月雹花 @hyouka

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