第5話 【探索者登録・2】


「クロ姉達、どうしたの? こんな朝早くに」


 玄関を開けた俺は、扉を開けてそうクロ姉達に聞いた。


「蓮君と話したい事も沢山あるから来たんだけど、もしかして邪魔しちゃったかしら?」


「ううん。大丈夫だよ。ちょっと【アイテムボックス】の中身を確認してただけだから」


 クロ姉達にそう言うと、父さん達と同じようにクロ姉達は「もしかして異世界のアイテムを持って帰って来てるの?」と聞いて来た。


「そうみたい」


 そう軽く返事をすると、クロ姉が「取り合えず、ここじゃ誰かに聞かれるわね」と言ったので家の中に入ってもらった。

 そうしてクロ姉を家の中に招いた俺は、クロ姉達から【アイテムボックス】の中身について聞かれた。


「って事は蓮君に頼めば、私達も身体能力を更に上げられるって事!?」


「まあ、努力は必要だけど確実に上げる事は可能だね。ってか、こっちにはそう言うのは発見されたりしてないの? ダンジョンとか出てきてるなら、そういった回復薬とか出て来てもおかしくないと思うけど」


「あるにはあるけど、かなり高いのよね……」


「うんうん。怪我も魔法で治す事が出来るけど、効果が高い物だとおかしな値段になってくるもんね」


 姉さん達の話を聞いた俺は、この世界と異世界とではアイテムの価値すらかなり違うようだ。

 アイテムボックスの中には沢山有能なアイテムがあるから、それをこっちの世界で売ったら億万長者にもなれそうだな……。


「蓮君、アイテムもそうだけど本人も凄く強いから一瞬で今の探索者の頂点に立てそうだよね」


「確かに、でもそれは蓮君が探索者に興味があるかどうかよね」


「う~ん……まあ、クロ姉達もやってるし俺もやろうかなとは考えてたよ。ただ縛られるのはちょっとな~、そこに登録したら行動を制限されたりするの?」


 そう俺が聞くと、クロ姉は探索者について説明をしてくれた。

 探索者はそもそも、異変後に作られた〝世界異変対応協会〟によって作られた新たな職業。

 登録者はダンジョンや攻略出来ずに変異した地域の探索を行い、それらの功績に応じて報酬が貰える。

 また個人を縛る制度は無いが、一定の人数で集まる事によって作れる〝ギルド〟には協会側から依頼をする事がある。

 ランク制度があり、高いランクになると様々な恩恵を得る事ができ夢のある職業として人気だと聞かされた。


「聞いた感じだと異世界の冒険者に似てるシステムだね」


「最初私達もそう思ったわ。ちなみに探索者を副業として、普通に会社で働いてる人達も居てかなり自由な職業よ」


 姉さん達の話を聞いた俺は、探索者に対して興味が湧いて来た。


「あれ、でもその探索者って年齢制限とかは無いの? 一応、俺まだ15歳なんだけど」


「大丈夫よ。戦える能力があれば誰でも登録が出来る職業だから」


「そうなんだ。てっきり未成年は駄目かと思ったけど、そんな事はないだね」


「最初は確かに未成年は駄目だったんだけど、ここ数年で未成年以下も闘える能力があれば登録できるようになったのよ。それでミズキとアカネも登録出来て、三人で活動するようになったの」


 ミズ姉とアカ姉は双子で、俺と二歳年上だから今はまだ未成年か。

 その話のついでに聞かされたが、探索者は荷物の運搬も必要な職業。

 その為、一定の技能があれば免許も発行されるらしく、ミズ姉とアカ姉は免許も持ってるらしい。


「それで蓮君は探索者に興味ある?」


「そうだね。今の俺に出来るのって戦う事だし、登録できるなら探索者になろうかな」


 そうクロ姉の言葉に返事をすると、ジムで運動していた父さん達が丁度帰って来たので探索者なろうと思うと伝えた。

 すると二人は多分こうなると思っていたらしく、特に否定はせずに「頑張るんだぞ」と応援してくれた。

 その後、登録に必要な書類を貰いに役所に行こうと両親とクロ姉と一緒に車に乗って移動してる際、俺はふとある事を思い出した。


「そう言えば、俺って年齢的に学生だけど学校って行かなくてもいいのかな?」


「「あっ」」


 俺の言葉にすっかり全員その事を忘れていた事が発覚し、一度マンションに戻り話し合いを再開する事になった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る