第9話 【はじめてのダンジョン探索・2】
その後、凛さんと別れ俺とクロ姉達はダンジョンの中へと入った。
ダンジョンの中に入るには、〝ポータル〟と呼ばれている所を通る必要がある。
ダンジョンには様々な世界があり、洞窟、遺跡、草原、雪山等入った所とは全く違う空間が広がっていることが多い。
そして俺達が今回入ったダンジョンも、入る前は森の中だったのに今は洞窟の中に居た。
「へ~、凄いね。一気に周りの感じが変わったね」
「そうね。異世界にはこういったダンジョンとかはあったの?」
「今みたいにポータルを通っていくみたいなのは無かったけど、〝ダンジョン〟って呼ばれてる場所はあったよ。向こうだとダンジョンは、神々が作った人類への試練場って感じで一番奥に辿り着くとそのダンジョンを作った神様から報酬を貰う事が出来たんだ」
異世界に召喚され、ある程度強くなった段階で俺は自分の力を試す為に色んなダンジョンに挑戦していた事がある。
最初の方は力試し気分で行っていたが、途中から遊園地に行くような感覚で攻略に行っていた。
そして最後には、攻略しすぎて神様から「もう十分強いから、魔王討伐に向かったら?」と呆れられたという過去がある。
「という事は蓮君って神様が用意した報酬を沢山持ってるの?」
「うん。確認したけど、異世界で手に入れたアイテムは全部入ってたからダンジョンの報酬も沢山入ってたね。ここなら広いし、何かみたいな物とかある?」
そう俺が聞くと、ミズ姉は真っ先に「異世界の宝石とかある?」と聞いて来た。
宝石か……あっ、あれがあったな。
「これとかどう? ドワーフ族を助けた時に貰った宝石なんだ」
「……凄い。こんなに純度の高い宝石見た事がないわ」
「うん。でも俺、そんなにアクセサリーとか好きじゃないからそのドワーフにはお礼は言ったけど、貰ってからずっと【アイテムボックス】の中に入れてたんだよね。ミズ姉、欲しかったらあげようか?」
「……流石に貰えないわ、それにこんな高価な物を保管しておく場所もないし、持ってるだけで怖いわ」
ミズ姉は少しだけ考え、そう返答をしてきた。
クロ姉とアカ姉にも同じように質問をしたが、二人共ミズ姉と同じく持ってるのが怖いと言った。
その後、他にも【アイテムボックス】の中身を見せたりしてダンジョン攻略を始めた。
「薄々感じてたけど、蓮君の【アイテムボックス】は凄い物ばかり入っていたわね」
「うん。価値のある物が入ってるだろうなとは思ってたけど、まさかあんなに沢山あるとは思わなかった……」
「……そう言えば、昔蓮君と一緒にゲームしてた時もアイテム収集に時間を取られてたよね。異世界でもそうだったんじゃない?」
アカ姉の言葉に当時一緒にやっていたクロ姉とミズ姉は、その時の事を思い出したようだった。
「確かに蓮君、一緒のタイミングで始めた筈なのに一人だけ攻略が遅れてたわね」
「だけど私達より装備も良い物使ってて、素材集めの大事さを教えられてたわね」
「まあ、正直アイテム集めに関しては俺の癖みたいなものだからね。集められるなら集められるだけ集めたいって気持ちで、止められるまで続けちゃって異世界でもそれが原因で見張り役が付いたりしてたんだよね」
「見張り役って、蓮君一体どれだけダンジョンに籠ったりしてたの?」
その言葉に俺はスッと指を一本立てた。
それに対してクロ姉は「一時間じゃないわね。一日?」と言い、俺はその言葉に横に首を振った。
「じゃあ、一週間?」
「一ヵ月だね」
異世界に召喚され2年が経った頃、俺はダンジョン探索の楽しさに気付いてしまった。
その結果、俺は連続で一ヵ月もダンジョン攻略に夢中になり、その間連絡も取らずにいたら仲間や国王達から怒られてしまった。
「まあ、流石にそれは怒られるし見張りも付くわね」
「そうね。勇者とはいえ、そうなるわね」
「うん。蓮君が悪いね」
「流石に反省してるよ」
そんな感じで異世界の話をしながらダンジョンを進んでいると、ダンジョンで初の魔物と遭遇をした。
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