第14話 翌朝

 ピンポーン。


「先生、千早ですー」

 画面に映る彼。

 一瞬居留守を使おうかと思った。


「ごめんなさい、僕の鞄に先生のスマホが入ってて……返しに来ました」

 私はぎゅっと目をつぶる。

 のがれられない。

 オートロックを解除する。



 ドアを開けると、千早君はにこにこしていた。

「はい、スマホです」

「ありがとう……」

「顔色悪いですね」

「……二日酔いで」

「朝ごはん食べました?

 よかったら作りましょうか」

「えっ」

「ていうか材料買ってきたし、作らせてください。

 奈津さんまだ寝てていいですよ」


 止める間もなく、彼は上がり込む。

 私は手の中のスマホをじっと見つめた。

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