第10話 相談

 同窓会だから、他にも元教え子が来るのに。

 どの服にするか考える時、向かいに座る千早君を想像してしまう。

 デートじゃないけど、だけど、だけど。 

 

 

 考えた末、私はベッドに腰かけ、ルミにDMを送った。


「ちょっと相談あるんだけど、いい?」


 しばらくして「どしたー?」と軽い返事。


「実は職場の先生が元教え子と付き合ってるみたいなんだよね、どう思う?」

「どう思うって」

「ちょっとルミの立場で感想聞きたくて」


 返事が返ってくるまでがひどく待ち遠しかった。


「別に本人同士がよければよくない?

 同じ学校にいるならさすがに犯罪になりそうだけど、卒業してるんでしょ」

 回答は続く。

「アプリの出会いでも、友達の紹介でも、二人が真剣で幸せならいいんじゃないかな」


 視界に光が差した気がした。


「そうだよね、本人同士が幸せならいいよね。

 私少し視野狭くなってたかな。

 ありがと、ルミ」

「いいよー。

 ごめん、用事あるからまたね」

「こっちこそ、忙しい時にごめんね」


 ありがとう、またね、とウサギのスタンプを送って、私は顔を上げた。見慣れた部屋が広く、明るくなったように感じられた。


 ベッドに寝転がり、タイムラインを眺める。

 広告に笑顔のイケメンが流れてきて反射的に「あ、千早君だ」と思ってしまって、笑った。

 広告に載っていたのはジアン君だった。

 

 うん、私、千早君のことが好きだ。

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