第15話 もしかして

 昨夜のテレビは衝撃的だった。


 SNSから意中の人物を特定する話。


 名前や誕生日からアカウントを推測する。

 写真の背景から住所を絞り込む。

 他にも、同級生を装ったアカウントを作り、鍵アカの人にフォロー申請する、などなど。



 私は布団を頭までかぶり、スマホをいじる。

 先日相談した画面をスクショして、InstaからルミにDMを送った。


「このTwitteアカウントってルミだよね?」


 予想が外れててほしい、と思ったのに。


「私Twitteはやってないよ?」

 冗談だよね、と言いたくなるルミからの返事。

 動悸が早くなる。


「だってInstaと同じ写真にコメントだし、アカウントだってルミの誕生日入ってて」

「えー、マジで言ってる? なりすまし?

 怖いんだけど」

 ちょっと調べてみるね、また連絡する、とルミからの返事は途切れた。


 私は回らない頭で考える。


 Instaに上げた写真。空、綺麗な景色、美味しかったランチ。

 それだけでは私だと特定できないかも。

 でも、よく私を見ている人物なら。


 たとえばジアン君のストラップ、なんてことない教室や職員室での会話。

 集めたヒントから、私と、相互のルミを見つけてTwitteでルミを装うアカウントを作ってフォロー申請。つぶやきと写真から住所を絞り込み、近所をうろつき、偶然を装って声をかける。


 考えすぎだろうか。

 でも実際私は、ルミだと思ってフォローして、やり取りした。


 不意に、背中に冷たいものが走る。

 私の手の中にある、一晩千早君のところにあったスマホ。


 もしかして、わざととったの?

 私のスマホに、なにかしたの?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る