第2話 ミステリー受難の時代か

 クローゼットの中で手足を縛られた死体が見つかったニュースを見たと思ったら、即座に容疑者が逮捕されて驚いたんだけも、現代を舞台にするとミステリー小説を書くのにはやっかいな時代だね。なんせ交友関係からアリバイ、金の流れまでスマホで辿れるんだもんね。おまけに街中に監視カメラ、道路にはNシステム、そうなると、ちょっとやそっとじゃ殺人事件の隠蔽なんてできるもんじゃない。


 もちろんミステリー小説は密室やトリックだけを扱うもんじゃなくて、背景や動機を楽しむものでもあるから、現代設定でも書けるんだろうけども。「なぜ殺した?」という動機なんかをテーマにした時、刑事の取り調べに完黙を貫く容疑者、かけずり回る刑事たち、なんてのは結構好きなんだけども、本来は容疑者と被害者しか知らない感情のもつれなんかが克明にLINEにしっかり残されてる……なんて考えるとほんとに萎える。

 そして容疑者と被害者の接点が見つからない……この二人につながりはあるのか、あるとしたらどうして知り合った? なんて主要となるはずの謎も、現代じゃ刑事どころか一般人ですらSNSだろうなって容易に想像がついてしまう。そしてその証拠も通信記録して残ってる。萎えるよ、ほんと萎える。


 六地蔵リクオみたいなクソバカがそんな事を何も考えずに「アマチュアは好きに書くんじゃああ!好きを詰め込むんじゃああ!」で現代を舞台にミステリーを書いたら大変な事になるよ。

 まあ世の中にはリクオみたなクソバカじゃなくて、アマチュアでもプロでもちゃんとしたものを書く人はたくさんいるから時代背景が過去だったり、色々と工夫して物語として面白いものが良作ミステリーとして、これからも出てくるんだろうけどね。なんかヒリつくような緊張感を感じさせてくれるミステリーを読みたいなってふと思ったよ。

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