まるっこ雑記
まるっこ
第1話 頂き女子 りりちゃん
だいぶ報道も落ち着いたね。少し前にテレビから流れてきた「頂き女子りりちゃんっ!」という声に目をやると、あらまー頭の弱そうな子だわ……と思ったけど、ニュースが進むにつれて、その思いは改まって興味津々になったよ。
多くの人が知ってるだろうけど、おさらいすると世のモテないおじさんに色恋仕掛けの「私、お金に困っちゃってます。このままだと体を売らないといけない…」で、巻き上げた金はなんと二億円超えという。おまけにその騙しのテクニックをマニュアル化したものを1,2万円程度で販売して1000部以上を売り上げて2000万。ある意味、感心したわ。
今、ホストの売掛問題も話題になってるけど、色恋が絡むと男も女も出す額が跳ね上がるからね。にしても、よくこれだけの額を……と驚く。まともなビジネスで単価が10分の一だとしても2000万ほどの売上になる。
似たような事してる人間は山ほどいるだろうけど、ここまで稼ぐ人間はそうはいない。となると理由がある。この頂き女子なる子が自分で気付いてるかどうかわからないけど、人間の思考の流れや感情を俯瞰する事に相当長けてるね。そして言葉の使い方の巧みさ。「頂き女子」、「おじ」、もっとあるんだろうけど、なんとなく憎めずクスっとくる語感。作家やコピーライターに必要なものを見事に持ってると思わざるを得ない。
恐るべしは「マニュアル」だよ。自分ができる事や理解してる事も、人に説明して体得させるのは難しい。優秀な選手が、必ずしも優秀な監督やコーチにはなれないのと同じ理由で。でも、この頂き女子はそれをやってのけてる。このマニュアルを実践して別に逮捕された子がいるっていうから驚くよ。書くだけ書いて「後シラネーっす」じゃなくて、読んだ人間に「実践してみよう」と思わせ、そして実践して成功させる。それは自分の脳内の騙しのテクニックを第三者もわかるように文章化したという事に他ならない。
うーん、なぜこの手腕をまともな方面に活かせなかったのか……と思うね。なんらかでこの能力を発揮するまともな方面を見つけてたら年収1000万は楽に稼げるよ、この子。
私は「ウェブ小説に狂った男」という小説で、狂おしいほどに自分の小説を読んでもらいたくて、評価してもらいたくて、書いて書いて書きまくって宣伝もしまくるんだけど願いが叶わず、そんな自分を正当化するために「アマチュアは好きに書くんじゃああ!好きを詰め込むんじゃああ!」「趣味で書くのであれば好きに書けばいいと思うのですね」「趣味で書いているだけなのでPVや評価は気にならないのですね」と言いながら狂っていく「六地蔵リクオ」という男を書いたけど、その主人公に少しでも頂き女子の才能を分けてあげたいね。仮に「六地蔵リクオ」が小説の創作論なんて書いたところで「誰がおめーの読まれない小説の書き方を参考にするんだよ」「何が創作論だよ、好きに書いて好きを詰め込むがオメーの手法じゃねえのかよ」って見向きもされないだろうからね。頂き女子が書いたような「りりちゃんの頂き道しるべ」にはなんないねえ。
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