前のエピソード――第3話　腐敗国家

　カクヨムの短編コンテストの400字〜1万字という募集を見て、何か書いてみようかって思ってパッと頭に浮かんだ構想を、とにもかくにも何も制限せずにズラズラズラって書いてみたのよ。それこそ、このエッセイでとりあげる六地蔵リクオの「アマチュアは好きに書くんじゃああ！好きを詰め込むんじゃああ！」って感じで。

　そしたら1万8千字ぐらいになったんだよね。もちろんそれは書き殴っただけのもので、文章として全く整ってないし、話の流れや展開もチグハグで、必要なものと不要なものが入り混じってるという、およそ人様に読んでもらえるような状態じゃないものね。

　それを人様に少しでも読んでもらえるように文章として整えて、少しでも効果的に話の流れや展開を入れ替えて、必要なものと不要なものの取捨選択をしたら、大体1万2千字ぐらいになったんだよ。

　ここから2千字削るのは中々キツイなあ……と思ったんだけど、第3者になったつもりで読んでたら「ああ…これは読者には必要不可欠な情報じゃないな」ってのが結構見つかって、1万300字ぐらいになって、そこからは言い回しや平仮名を漢字に変えたりしてなんとか1万字以内になってめでたしめでたし。

　別のエッセイで書いたけども少ない文量に多くのものを孕ませるってのは、本当に難しくて大変な事なんだって改めて思ったよ。そんな文章を書ける作家は相当労力と時間を作って、そういう文章を作り上げてるんだと思う。そして、なぜそうするかというと、それこそが読者に読んでもらえる事につながるからだって事もわかった。

　同時に「アマチュアは好きに書くんじゃああ！好きを詰め込むんじゃああ！」で書いてたら、すぐにぼわーっと広がって10万字、20万字になっちゃうだろうってのもわかった。そしてそれは書いた作者だけが楽しいもので、無駄なものだらけで読者を引き付けることもできず、結局読んでもらえなくて六地蔵リクオ状態になるって事を改めて確信したよ。

　読んでもらえない小説を大量生産して「PVや評価は気にせず、アマチュアは好きに書けばいいと思うのですね」と言いながら、読者を求めて必死こいて宣伝や解説までするようにだけはならないようにしたいね。