異世界ファンタジーを微生物学で深掘り!人間と魔族が共生するために。

「ヒトは愛するために遠くへ行くの」まで読了時点でのレビューになります。

舞台は人間と魔族の戦いが終戦した後の世界。勇者パーティの一人である元聖女モルゲンの生活を軸に、両種族の折り合いを見つめていく。

このお話の柱になっているのが、微生物。
結びつき、繁殖し、変質するその性質は一見異世界ファンタジーと無関係のように思えますが、人間と魔族が共に生きるようになった多様性の社会の写し鏡でもあります。読んでいてハッとする場面が多々あり、裏付けされた知識は強い説得力となって物語を後押ししています。かと言って小難しいお話ばかりではなく、個性的なキャラクターたちの魅力に引き込まれているうちに、きっと次々ページを捲っていることでしょう。私の最推しはモルゲンの弟子のユリアです。多くの読者を魅了する師弟愛と健気さと気高さがとてもGood……!

楽しく知識を深め物語に没入できる完成度抜群の一作。ぜひおすすめです!

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