[第4章] 18歳

#4-1 石川 智也

石川 智也いしかわ ともや

3年B組。18歳。O型。

身長185センチ。

家族構成:父・母・兄・ネコ


 オレは恋人の瑛莉華えりかにウソをついてしまった。

いよいよ瑛莉華の部屋のベッドの上に座り、彼女とのを迎える時だった。オレがモテることを気にしている瑛莉華に対して、自分は今日初めて女の子と交わるというウソをついてしまった。

 オレは童貞ではなかった。

瑛莉華の前に付き合っていた女の子とは、そういう関係になろうと計画してラブホテルにまで行った。だけど何だか違う気がして途中でやめた。その子にはそれでフラれたのだが、ショックは少なかった。

童貞であることを揶揄やゆされる年頃だったが、それを捨てることを目的にしないで、本当に心から好きになった女の子としようと決意した。

 高校2年の時にその子が現れた。瑛莉華だ。

瑛莉華の事は入学当初から知っていた。憧れの的だった彼女と話をしたくて廊下ですれ違うたびに話しかけたりしていたが、それほど仲良くはなかった。2年になって仲良くなり、ギャルっぽい見かけによらず純粋でかわいらしい彼女にあっという間に夢中になって『この子とをしたい』と思っていた。

 しかし瑛莉華は先輩と付き合いだした。

オレは自暴自棄じぼうじきになり、誘ってきた女の子とシてしまった。付き合ってもいない女の子と。

それまで女の子に言い寄られるのは度々あったが断ってきた。

運命の女の子と出逢ってその子と運命の日を迎える為に。

瑛莉華という運命の女の子と出逢えたのに、運命の瑛莉華とせっかく仲良くなれたのに、あまりのショックで瑛莉華ではない子と初体験をしてしまったのだ。

誘惑に負けてしまった後悔と自分への怒りとでいっぱいだった。

その子とはその1回きりで、オレは自分を責め続けた。

 でもそんなふうに落ち込んでいる間に瑛莉華は先輩と早々に別れた。

それを聞いた日から懸命に彼女にアプローチを続けてついに瑛莉華を手に入れて、ずっと頭の中で描いてきた瑛莉華との初めての日にウソをついてしまったのだ。


 瑛莉華ではない子とシたことも、瑛莉華にウソをついてしまったことも罪悪感でいっぱいだった。

疑いもしない瑛莉華は、何度もオレを受け入れてくれる。オレの欲望を満たしてくれる。そんな彼女に対する愛情は日に日に大きくなっていく。それにつれて背徳感もどんどん増していく。

 そしてある日、オレが初めてシた女の子から言われた。

「彼女に、初体験は私とだって言った?」

「言うわけねぇじゃん」

「じゃぁ、私バラしちゃおっかなぁ。方法なんていくらでもあるし」

彼女はオレを好きだと言っていたが、オレはそれに応えることができなかったのを根に持っているようだった。

もちろんそれはやめて欲しいとお願いした。

「じゃぁさ、バラされたくなかったら、私ともヤって」

「はぁ?!」

「バラされてもいいの?」

彼女は自分とも付き合うようにと脅迫してきた。

ただ欲求を満たしたいが為に彼女と交わったことを後悔してたし、彼女に対しては申し訳なく思っていた。

だが、オレはそんな気は一切ない。瑛莉華に夢中で瑛莉華と一生一緒にいようと考えいるのに。

「おまえとヤるくらいなら、自分で彼女に言うし。まじうぜぇ」

オレはそう言い放ってその場を後にした。


 翌日、意を決して瑛莉華の部屋で『初めてではなかった』と、打ち明けた。

「智也、瑛莉華のことホントにスキ?」

「うん。めっちゃスキ、愛してる」

「それならイイよ。瑛莉華も智也のことスキだし。それが大事でしょ?」

彼女はかわいく微笑んで、ウソを許してくれた。

オレはうれしくて泣きながら謝った。瑛莉華の大きな胸に顔をうずめながら。瑛莉華は優しくオレの頭を撫でながら「泣くほどのことじゃないしぃ」と笑っていた。

瑛莉華はおっぱいも大きいが心も大きい。

オレと瑛莉華の仲はより一層深まった。

 オレは週4日バイトをしていたがそれ以外の日は瑛莉華の部屋で彼女と交わった。休日は瑛莉華のお母さんは家にいるので、ラブホテルに行って交わった。たまに学校をサボって瑛莉華の家行って昼間から1日中交わった。

ただひたすら瑛莉華を求めるをオレを、彼女はすべて受け入れてくれた。

最初はぎこちなかったオレ達だが、何度も身体を重ねるうちにどんどん合うようになっていった。それに比例して愛情が深まっていく。

 それに瑛莉華は男子から人気がある。一緒に歩いていても彼女を見ている男の目線に気がつく。オレは気が抜けなかった。

誰にも瑛莉華をとられたくない。

瑛莉華をオレだけのものにしておきたい。

何度瑛莉華に『スキ』って言われても足りない、もっとその言葉を言って欲しくなる。

どんなに欲求を満たしても、またすぐに瑛莉華が恋しくなる。

オレは瑛莉華を愛しすぎていた。

彼女以上に愛せる人は一生現れないと思っている。

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