#4-3 茂庭 陽介

茂庭 陽介もにわ ようすけ

3年A組。18歳。A型。

身長177センチ。

家族構成:父・母・イヌ


 俺が密かに思いを寄せている瑛莉華えりかは親友の智也ともやと付き合い始めた。俺は絶望した。だけど、智也が瑛莉華の様子を話すのを聞くのは楽しかった。それを元に夜な夜な俺は脳内で瑛莉華とのよからぬ妄想に励んでいたからだ。

 俺としのぶは自宅のある駅が一緒で、出口が逆、隣の中学出身、地元が隣で、みんなで遊んだ帰りなどはいつも一緒だった。地元の駅に着くと改札を出ていつもなら左右に別れるのだが、この日は

「ウチ来て、語らない?さっきの続き。今日親いないからさ」

と、忍が俺を誘った。

彼女の父親は単身赴任で、この日は母親が泊りがけでそちらに行っていて留守で、完璧なギャルの妹はこれ幸いと遊びに出て帰ってこないだろうということだった。

さっきまで乗っていた電車の中では忍の恋愛関係の悩みを聞いていた。まだ続きが話したそうだったので、俺は忍の家に行くことにした。

 俺が彼女の勉強机のイスに座り、彼女はベッドに腰かけて向かい合って、帰り道の途中のコンビニで買った飲み物やお菓子をつまみながら忍の話を聞いた。

彼女は今草太そうたと付き合っている。

でも、草太が瑛莉華をまだ好きなのではないだろうかと疑っている。

俺は草太とそんな話はしたことはないし、仮にそうだとしても瑛莉華は智也とうまくいっていて草太の入る隙間はないし、忍には「心配しすぎだよ」と言ってみたが彼女は納得していなかった。


「いいモノ見せてあげる」

と、言って忍が俺にスマホの画面を向けた。それを手渡された俺は目を疑った。

瑛莉華の下着姿の写真だ。

かわいいピンク色のブラジャーを着けた大きな胸で恥ずかしそうに微笑む瑛莉華だ。俺は見てはいけないと思いながらも目が離せなかった。身体の一部が反応し始めて

「本人に許可なく見せんなよ」

と、慌てて忍にスマホを裏返して返した。

「陽介、瑛莉華スキでしょ?」

「俺はもう諦めたし。友達の彼女じゃん」

俺も瑛莉華へのキモチを忍には打ち明けていた。でも、妄想で犯しまくっていることは、さすがに言っていない。

「じゃぁさ、本人の許可があったら見る?」

と、言いながら忍は自分の制服のシャツのボタンをはずしだし、1つ1つはずれていくさまを俺は何も言わずに眺めていた。

そして忍はシャツを開いてシンプルな白いブラジャーの胸を見せつけた。友人の彼女なのにいけないとわかりながら、俺は何も言えずに何もできずにただそれを見つめた。

「こっち来て、近くで見ていいよ」

その言葉にいざなわれて、俺は忍の隣に座って小ぶりだが艶っぽい肌の彼女の胸を凝視した。

「ねぇ、瑛莉華と智也、別れさせてよ」

忍の突然で突拍子もない提案で俺は我に返った。

「え?!なんで?俺が?」

「あの2人が別れればいろいろ丸く収まるんだよ。陽介だって瑛莉華とヤれるかもよ?」

「いや、待てよ。別れたところで瑛莉華が俺を選ぶかなんてわかんねぇじゃん」

俺は冷静を装って返したが、目の端にはチラチラと彼女の素肌が見えていて、平常心を保つのがやっとだ。

「これでもダメ?」

忍は両手でブラジャーを下げて、胸の全体をあらわにした。

時が止まった。俺は思考停止して忍のかわいらしい胸にくぎ付けになった。

「もし2人を別れさせてくれたら、触らせてあげるよ。」

俺の身体の一部が完全に反応している。今、忍に触れたい。だけど友人の彼女だ。欲望を押さえこもうと目を閉じた。


 そうすると俺が目撃した忍のあの姿が脳裏をかすめた。

それは忍、真帆、草太、智也と5人で行った夏祭りでの出来事だ。

みんなで金魚すくいを楽しんいる最中に忍は智也を伴って飲み物を買いにその場を離れた。真帆が金魚を手に入れ満足してその屋台を後にしようとしたが、忍と智也は一向に戻ってこなかった。電話にも出ない、メッセージも既読にならない。心配だった俺達は手分けして2人を探すことにした。

 そして境内の奥の草木の生い茂った場所に行くと人の気配を感じた俺は目を細めてそちらを見つめた。

暗闇に目が慣れてくると、忍と智也の姿が浮かび上がった。

忍は大きな木の幹に手をついて90度に身体を曲げてスカートをまくり上げて、白っぽい小さな布の塊が足首に巻き付いている。顎を上げて何やら声を上げている。

智也はジーンズをひざ下まで下して、その忍の腰をつかんで動いていた。

暗がりで、それほど近くはなく表情まで伺えないが2人の動きはシンクロしていて、間違いなく交わっていた。

俺の背後では祭りの騒音がにぎやかに響いているが、暗闇に紛れた2人は別の空間にいるような不思議な錯覚を覚えた。声をかけることもせず、太い木に隠れて無心でその光景に見入った。

 忍から離れ天を仰いだ智也は一息ついて慌ててジーンズをあげた。2人は目も合わさず会話もせず、忍はそそくさと身なりを直した。身を隠していた俺は気づかれまいと急いで明るい方へと引き返した。

 この後、本人たちは何もなかったようにしていたし、遠巻きながらもワケがありそうな空気は察知していて俺が口に出せるような雰囲気でもなかったので、俺は見なかったことにしようと決めて誰にも言わなかった。

 家に帰ってから頭の中を整理しようと先ほど目撃した行為をノートに記した。そして今まで1番仲のイイ女友達という位置づけだった忍を後ろから犯した。頭の中で、智也よりも激しく。


 我に返ると忍は胸をしまって白く眩しいブラジャーの姿に戻っていた。

「もし、瑛莉華とヤれなくても、私の胸は触れるよ?私も陽介の触ってあげるし」

「わかった、できるだけのことはする」

俺は忍と悪魔の取引をした。

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