奇跡と純愛、喪失と邂逅、無垢なる恋の物語。

少年が出逢ったのは『天使』のような少女だった。

物語の舞台は病室から始まり、そこで主人公の少年がヒロインと運命の出逢いを果たす。誰もが憧れ、微笑ましく思えるようなボーイミーツガールのお話。

だけど、彼ら二人の出逢いは偶然ではなかったのだと思わせてくれます。きっとこの巡り合いは物語の主軸となる『神月代櫻』が導いた奇跡なのだと、読み手に語り聞かせるようでした。

透き通るようにあまりにも純粋無垢な二人が互いの心を通わせて恋に落ちる。病床に伏すヒロインはいつ死を迎えてもおかしくない中で、精一杯生きて愛する者との時間を大切に過ごす。
その物語の最中で差し込まれるお互いの独白は、切なく胸を締め付けるような感傷を懐かせ、読み手の心を揺さ振り続けます。

悲劇の一章を終え、続く物語の二章からまた違う展開を見せます。謎の転入生の正体とは。『神月代櫻』が起こす奇跡とは何か。二人が向かう結末はハッピーエンドか、それとも……。

少年少女だったあの頃の純粋な気持ちを思い出しながら読んでください。

本作に触れる読者の皆様が二人の歩む未来が幸せになることを祈りながら、その結末を最後まで見届けて温かい気持ちに包まれることを心から願います。

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