端正な文章でつくり上げられた、唯一無二の本格恋愛小説

骨太な本格ファンタジー小説の書き手として固定ファンをつかんでいる筆者様。そのイメージが強かったので、この作品は意外に感じるととともに、読みはじめてすぐに納得もしました。「水無月さんが恋愛小説を書くとこうなるのか」と。何といっても端正で精緻な文章が素晴らしいです。高精度なガラスブロックを丁寧に積み上げたような感じです。病院などの舞台設定が作り込まれているのも流石です。主人公の少年少女の家族関係をしっかり掘り下げているのも良いですね。物語に現実の手触りをもたらし、独特の味わいになっています。カクヨムにはなかなかないタイプの本格恋愛小説、じっくりと腰を据えて読みたいです。

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