「図書館はどこですか」騙し絵のような監獄にようこそ!

身におぼえのない罪で死刑になった「ぼく」
二十八世紀の死刑は四次元の建物のなかで自然死を待ち続けることで、暮らしは案外と快適だった。だが、ただひとつ、大きな問題がある。
「ぼく」は活字中毒である。
だが、扉をあけるたびに変わり続ける建物のなかに図書館はない、らしい。


奇天烈な設定ではありますが、端々に妙な説得力があって、いっきに物語のなかに惹きこまれていきました。それこそブラックホールに吸いこまれるがごとく。
扉を開けるたびに何処につながっているかわからない監獄の風景もそうですが、物語の概念といいますか、世界観そのものが「マウリッツ・エッシャー」の騙し絵を想わせ、読み進めるほどに心地のよい没入感があります。
随所にいろんな伏線が張りめぐらされているので、読みかえすほどに新たな発見がありそうですね。

果たして「ぼく」は図書館にたどりつけるのか。
なぜ「無実の罪」で死刑になってしまったのか、ほんとうに彼は「無実」なのか。ニワトリがさきか、タマゴがさきかのような結末をどうぞご堪能ください。

ちなみにコンニャクの原材料となる蒟蒻芋は猛毒で、最悪死にいたるのだとか。おそるべきコンニャク爆弾!

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