10話 破片
右手に流線が美しいガラス瓶を持っていた。薄く限りなく透き通る。
これ以上に美しいデザインはないように感じられ、決して割れることのないような気さえした。そんなことを思っていると力の入った右手の中で割れてしまった。バラバラになった瓶の破片に先程まであった流線は消え失せ、鋭角が幾分にも見受けらてた。キラキラと光を乱反射させていて綺麗だ。
再び、右手に力が入る。握られた拳の隙間からたらたらと赤い血が滴る。不思議と痛みがなく、瓶の破片が持つ鋭利さに心を奪われる。
死に損ないの夏 平家蛍 @heikehotaru
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。死に損ないの夏の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます